AI革命を支える原動力は「データ」であり、新たな技術的な世界秩序を築くための土台となっている。しかし、データは形のない存在で整理が難しく、閉ざされたエコシステムや規制の壁によってその量は増加の一途をたどっている。このような状況下で、AIを活用しようとする企業は、最も重要な資産であるデータを十分に生かし切れずに苦戦している。こうした課題に対し、Snowflakeは有効なソリューションを提供している。
Snowflakeは年次ユーザーカンファレンス「Snowflake Summit」で、新たなサービス「Openflow」の提供を発表した。同サービスは、企業が保有するさまざまな種類のデータを、1つの統合されたチャネルに集約する。Openflowは、構造化や非構造化、バッチ処理、ストリーミングといった多様なデータが、まるで複数の小さな川の流れが1つの大きな川に合流するかのように集まり、データの可視化と活用を容易にする。
さらに同プラットフォームは、組織全体のデジタル環境において柔軟に動作するエージェントを含む、新たなAIシステムの構築を支援することも目的とする。これにより、人間のユーザーに代わってタスクを自動で実行する仕組みを簡単に設計・導入できるようになる。
Snowflakeのデータエンジニアリング部門で製品担当バイスプレジデントを務めるChris Child氏は、次のように語る。「Snowflake Openflowによって、私たちはオープン性と拡張性、管理性を兼ね備えた新たなデータ統合のスタンダードを打ち立てている。これにより、顧客はデータを置き去りにすることなく、AIを活用したアプリケーションやエージェントを迅速に開発できるようになる」
今日の企業は、さまざまな情報源から流入する膨大なデータを管理しなければならない。マーケティングメールや社内資料、カスタマーサポートとのやりとり、財務データ、動画コンテンツ、市場調査のアンケート結果など、全てが価値ある情報資産として蓄積されるべき対象となる。さらに、AIの進化により、こうした社内の多様な形式のデータを取り込み、モデルの学習に活用する必要が出てきたことで、データ管理は複雑さを増している。
Snowflakeは、企業がデジタル情報を主要な資産として活用する時代において、新たな情報管理の役割を担おうとしている。Openflowは、そのビジョンを実現するための最新の取り組みであり、同社のプレスリリースによれば、同プラットフォームは「データが生成された場所から、実際に活用される場所へとスムーズに届けるプロセスを簡素化する」ことを目指している。
Snowflakeは、Openflowが組織内のあらゆるデータストリームに対応できる、いわゆる「相互運用性」と呼ばれる機能によって、大きな価値を引き出す可能性が広がると述べる。
まず、Openflowでは、ユーザーがカスタムのデータビルドツール(dbt)プロジェクトをプラットフォーム上で直接作成できるようになる。同機能は、まもなくパブリックプレビューとして公開される予定。さらに、Openflowは「Apache Iceberg」との統合にも対応しており、これにより企業は組織全体にわたるファイルの追跡やデータの可視化が容易になる。
さらに、現在パブリックプレビューの新機能「Snowpipe Streaming」により、Openflowでのデータストリーミングは毎秒10GBの高速処理が可能となった。Snowflakeによれば、同機能によって「レイテンシーが大幅に低減される」という。

提供:Weiquan Lin
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。