ワークデイ、開発者向けにAIツールとエージェントを発表

Webb Wright (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2025-06-04 07:47

 アプリケーション開発において、AIの役割はますます重要になっている。一方で、開発者たちはエージェントを含む新たなAIツールの急速な進化に翻弄(ほんろう)されそうになっている。こうした状況の中で、Workdayはこの変化の波をうまく乗りこなせるよう開発者たちを支援したいと考えている。

 同社は米国時間6月2日に開幕した年次開発者イベント「Workday DevCon 2025」で、新たなAI機能の数々を発表した。これらの発表は、Workday内で増え続けるAIツールを顧客がより効果的に管理できるように設計された、新しい開発者向けツールセットに焦点を当てたものになる。

 ツールセットには「Agent Gateway」と呼ばれる機能が含まれており、開発者はサードパーティー製のAIエージェントをWorkdayの新たな「Agent System of Record(ASOR)」に統合できるようになる。ASORは、仮想的な従業員チームにタスクを割り当てたり、協働作業を管理したりするための基盤となるプラットフォームと位置付けられている。

 さらに、顧客は自社で開発したカスタムAIエージェントを、Workdayのオンラインアプリマーケットプレイス「Workday Marketplace」に出品・販売できるようになった。

 また、Workdayは、開発者がAIを活用したウィジェットを自社のアプリケーションに組み込めるようになったことも発表した。これにより、ユーザーは自動化されたアシスト機能を簡単に利用できるようになる。例えば、カスタマーサポート対応のためにチャットボットウィジェットを追加できる。

 開発者向けツールセットの3つ目の機能は、WorkdayのAPI拡張になる。これにより、顧客はWorkdayのAI機能を自社のアプリケーションに直接組み込むことが可能になった。その結果、ユーザーはアプリ上で自然言語を使って財務や人事について質問し、AIによる回答をリアルタイムに受け取れるようになる。

 この新しいツールセットは、開発者がエージェントやその他のAIツールを一元的に管理・運用できるようにすることで、Workdayを包括的なプラットフォームとして位置付けようとしている。

 Workdayのコアソフトウェア担当シニアバイスプレジデントであるMatthew Grippo氏は、「現在の開発者は、複雑で断片的なAIの環境を乗り越えながら、先進的なAIアプリケーションを迅速に提供しなければならないという、非常に大きなプレッシャーに直面している」といい、さらに「Workdayの新しいAI開発者向けツールセットは、こうした課題を解消し、開発者が未来の働き方を形づくるアプリケーションやエージェントに、強力なAI機能をスムーズに統合できるよう支援する」と述べる。

 さらにWorkdayは、アプリケーション開発のプロセスをよりシンプルかつ効率的にすることを目的としたAIアシスタント「Developer Copilot」も発表した。同社によれば、同ツールを活用することで、開発者の生産性を最大50%向上させるとしている。

 例えば、開発者はチャットボットに対して自然言語で指示を出し、アプリケーションに組み込むためのコードスニペットを生成できる。また、特定のAPIに関するベストプラクティスや推奨事項を尋ねることも可能だ。

 プレスリリースによれば、今回の発表は、Workdayが金融・人事管理ソフトウェア企業という枠を超え、「人材、資金、エージェントを統合的に管理するAIプラットフォーム」へと進化しようとする最新の取り組みを示すものになる。

 新たに導入されたAI機能は、Workdayが2024年9月に発表したAIプラットフォーム「Workday Illuminate」を基盤として構築されている。同社によれば、Illuminateは年間で1兆件を超える人事・財務取引データを処理しており、これにより「業務の進め方に関する深い文脈的な理解」が得られるという。

 Agent Gatewayは、まず一部の顧客に限定で提供されるが、それ以外の新機能については年末までに一般提供される予定となっている。

提供:Justin Sullivan / Staff / Getty Images
提供:Justin Sullivan / Staff / Getty Images

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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