エクサウィザーズとグループ企業のExa Enterprise AIは6月4日、AIエージェントの新サービスとなる「RAGエージェント」や「バディエージェント」「exaBase だれでも自動化」を発表した。
エクサウィザーズは、AIエージェント開発・運用基盤「exaBase Studio」で、RAGエージェントの各種機能を6月中旬から順次提供していく。RAGエージェントは、大量の社内文書を適切に処理して読み込んだり、運用中の精度検証を自動化したりして、高精度な拡張検索生成(RAG)サービスの迅速な構築と容易な運用を実現するという。
同社は、2024年6月からexaBase Studioでユーザーの独自データを活用したRAGサービス構築・運用の「RAGOpsテンプレート」を提供し、2025年4月にはexaBase StudioのAIエージェントに対応できるテンプレート群も提供。今回のRAGエージェントは、AIエージェントに対応するテンプレートとなる。
RAGエージェントは、回答生成に利用した文字列(チャンク)だけでは情報が不十分だと判断した場合に、自動で元の文書全体を読み直し、文脈を再確認してから回答を確定する。データのコンプライアンスを順守し、同時に回答品質を向上できる。回答生成に必要な情報が不足している場合や既存データだけで判断が難しい状況で、外部ソースや社内ドキュメントを横断的に検索し、必要な情報を自律的に収集する。

RAGエージェントによる精度検証イメージ(出典:エクサウィザーズ)
また、ノーコードにより、ユーザーが読み込ませる文書の構造や内容に応じて最適なチャンクの設計を支援するオプションを備えるほか、RAGの品質を検索精度と回答生成精度の両面から自動評価する。これにより、例えば、管理対象文書が1000件を超える場合でも多数のRAGシステムを効率的に運用できるという。さらに、Model Context Protocol(MCP)を実装する外部のAIエージェントとも連携でき、タスクの分割や実行、進捗(しんちょく)報告までを自律的に行うサービスを構築できるとしている。
Exa Enterprise AIは、バディエージェントおよびexaBase だれでも自動化を提供する。
バディエージェントは、同社の生成AI基盤「exaBase 生成AI」で提供され、AIエージェント利用時の“窓口”の役割を担うという。ユーザーの事前インプットから意図を理解し、エクサウィザーズグループの各種エージェントを自律的に選択して指示を行う。エージェントのタスク完了結果を踏まえ、ユーザーが求めるアウトプットを提供、提案する。ユーザーの業務スタイルや好みを学習してアウトプットに反映させたり、社内データや関連ドキュメントの自動整理、更新を行ったり、プロジェクトの目標を設定して進捗を監視し、タスクを評価したりできるという。

バディエージェントの活用イメージ(出典:エクサウィザーズ)
また、エクサウィザーズグループの各種AIエージェントやAI製品を取りそろえた「エージェントコレクション」も公開する予定。事前告知を開始し、今後正式提供を予定する。
exaBase だれでも自動化は、ITなどに詳しくないユーザーでもブラウザーベースでロボティックプロセスオートメーション(RPA)ツールの作成と自然言語でメンテナンスができる自律型AIエージェントになる。2025年第2四半期中にベータ版、同年秋頃に正式サービスの提供を予定する。

「exaBase だれでも自動化」の主な機能(出典:エクサウィザーズ)
既に名古屋鉄道が検証し、IT部門が社内から受けた申請内容を確認して担当者に通知するフローを自動化するシナリオで業務効率化の成果を実感したとのこと。Exa Enterprise AI社内でも、営業担当者の架電後の文字起こし、議事録の作成、「Salesforce」への転記までのフローを自動化し、商談1件当たりの作業時間を約15分から2分に短縮する効果を確認しているという。