東芝は6月5日、同社グループでのデータセンター(DC)関連ビジネスを拡大すると発表した。5月1日付で「DC事業推進室」を設置しており、DCの計画から運用までをワンストップで提供するとしている。
東芝は、これまでDC向け電源設備などの機器・資材の提供ビジネスを手掛けてきたが、今後は建設工事の施工を含む提供範囲を拡大する。新設のDC事業推進室では企画や営業、技術機能を集約、グループとしてワンストップでDC関連ソリューションの提案窓口を担うとし、今後人員を増やす。
さらに建設工事の施工を強化するため、東芝プラントシステムが7月1日にDC向けビジネス専任組織の「データセンターインフラ推進室」を設置する予定。同社は、DCに必要な設備の「Engineering、Procurement、Construction、Commissioning」(EPCC)機能を提供しており、DC設備をグループ内外から柔軟に調達し包括的な施工を請け負う。一般的な建設リソースの不足に鑑み、グループ内外のパートナーとの協働も推進する。
この取り組みより、例えば、東芝の二次電池「SCiB」を搭載した無停電電源装置(UPS)によりバーチャルパワープラントを用いて余剰電力を調整電力として活用したり、東芝エネルギーシステムズのデジタル基盤「TOSHIBA SPINEX for Energy」での効率的なエネルギー管理を提供したりできるとしている。
東芝は、再生可能エネルギーや蓄電池の統合サービス、独自の需要予測や発電量予測、価格予測技術、最適なトレーディング技術を生かすことで、DCの電力需要カーブに応じた再生可能エネルギーの長期安定的な調達も支援すると説明する。
また、同社が電力事業で培ったエコシステムや、データセンター事業者へのHDD供給実績により、DCを設立する側、利用する側のニーズを踏まえた建設、運営を支援するとしたほか、モジュールユニット型DCの設計、製造、施工、保守までを一気通貫するサービスも検討を開始するという。

データセンター関連ビジネスの領域(出典:東芝)