シスコとNTT東日本は6月6日、中小企業向けITソリューションサービスの共同検討を目的に業務提携契約を締結したと発表した。この業務提携で両社は、日本の中小企業が直面するITの複雑さを取り払い、「回線につなぐだけ」で大企業基準のセキュリティと最新テクノロジーをシンプルかつ手軽に享受できる未来を目指すという。

(左から)シスコシステムズ 副社長執行役員 望月敬介氏、社長執行役員 濱田義之氏、NTT東日本 代表取締役副社長 星野理彰氏、先端テクノロジー部次長 山本晋氏(提供:シスコシステムズ)
日本の中小企業は、IT人材や経営者のITリテラシー不足により、高度な技術の導入が難しい状況にある。また、大企業が取引先に高度なセキュリティ基準を求める傾向が強まっており、中小企業にとって大きなハードルになっているという。加えて、サイバー脅威の増加やクラウド利用の拡大に伴い、ネットワークの可視性と管理能力も不可欠だとしている。
中小企業が抱えるこれらの経営課題に対して、両社は最新のセキュリティテクノロジーを容易に導入し、活用できる環境を目指す。この取り組みでは「つなぐだけでできるITへ。デジタルの恩恵を全ての人に」をテーマに掲げ、スケーラブルでシンプルなソリューションを展開する。
具体的には、両社の強みを生かした革新的な技術とインフラストラクチャーを融合し、NTT東日本のブロードバンド回線を基盤に、「オブザーバビリティ」「ネットワークセキュリティ」「端末管理・端末セキュリティ」――の3つの核となる機能を統合したソリューションを検討する。ネットワークの状態を常に把握し、潜在的な問題を事前に検知するとともに、企業間取引に求められるセキュリティ基準を満たすネットワークからエンドポイントまで一貫した保護と防御を提供し、安全で最適化されたIT環境を活用できる基盤の構築を目指す。
ソリューションは、企業規模や業種に応じたカスタマイズができ、成長に応じた機能追加や拡張を円滑に行えるようにするという。また、月額定額制にすることで、コストの見通しを立てやすくし、予算管理を容易にする。
今後、新たな構想と提供価値の実効性を検証するための実証実験を行い、実際の中小企業の現場における運用と効果を検証し、評価を行う予定だとしている。両社は、中小企業のデジタル変革(DX)を促進し、日本の中小企業の競争力強化と持続的な成長に貢献していく。