日立製作所は、米NVIDIAの「グローバルシステムインテグレータープログラム」(GSI)に日系企業で初めて参加すると発表した。世界的なAIソリューション需要の拡大に対応するという。
両社は、2024年3月に生成AI分野での協業を開始し、「AI Center of Excellence」の組成や「フィジカルAI」の実現などに取り組むほか、同年9月には、鉄道システム事業の日立レールがNVIDIAとの鉄道向けAIソリューション群「HMAX」を発表している。
今回はこうした協業を拡大し、高速のデータ処理やAIエージェントなどの先進技術を活用したユースケースやビジネスソリューションのロードマップを開発、多様化する顧客のAI変革へのニーズに対応する。両社で連携した市場進出プログラムを通じ、米国や日本などの重要成長地域の顧客へAIの迅速導入によるビジネス課題解決を支援するソリューションを提供していく。このため日立は、GSIを活用して産業制御システム(OT)領域や主要なAI機能に関する高度専門人材の育成を推進するとしている。
具体的な取り組みは以下の通り。
AIトランスフォーメーション加速に向けた事業計画の立案・推進
日立は、NVIDIAの製品やソリューションのロードマップを基に、産業用AI市場へ向けて共同での事業計画、成長戦略を確立。日立はソリューション開発のプラットフォームに「NVIDIA AI Enterprise」「NVIDIA Omniverse」なども活用し、革新的なAIのユースケースを創出する。例えば、日立ビルシステムは、ビル設備のメンテナンス作業で効率的な安全管理の実現に向け生成AI活用を推進する。「NVIDIA AI Blueprint for Video Search and Summarization」を活用し、マニュアルや熟練技術者の作業手順などを学習し、現場技術者が装備するウェアラブルカメラの映像をリアルタイムに分析して、技術者の作業の効率性と安全性を高めるガイドやアラートなどを提供する。
市場進出への共同施策
日立は、NVIDIAの製品やソリューション、マーケティングプログラム、トレーニング、ウェビナーに関する最新のノウハウを活用して、NVIDIAと顧客向けに共同で市場進出へのイニシアチブを開発、実行する。日立はNVIDIAの年次カンファレンス「GTC」に参加し、顧客企業の成功事例や新ソリューション、技術を共有、紹介していく。
トレーニングと人財育成
日立は、高度な生成AIスキルを持つ「GenAI Professional」を5万人以上確保すべく育成を推進しており、その一環でNVIDIAの「DGX Cloud」「NVIDIA AI」「NVIDIA Omniverse」などの実践的な専門知識を深めるトレーニングプログラムを組み込む。OTとAIの専門家を育成し、産業用AI市場をリードする人材基盤を強化する。