鋼材や産業用機械などを手掛ける小松鋼機(石川県小松市)は、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)の内製開発によって年1000時間相当の人的リソースを創出し、さらには社外へのRPA導入提案にも取り組み、地域の製造業の業務効率化などに貢献している。同社にRPAツール「BizRobo!」を供給するオープンが発表した。
小松鋼機は、従業員数が約120人で、機械商社部門の機工事業部では、石川県や富山県、福井県など北陸地方を中心に約500社と取り引きをしている。同事業部は、自社や取引先が直面していたデジタル活用の課題の解決でRPAに着目。地域のシステム開発会社が提供する開発受託サービスを2019年に採用したという。
この時点では、まず月次処理の一部をRPA化し、従前には担当者が毎回6日間を要した確認作業を数時間に大幅短縮する成果を挙げた。RPAの生産性向上効果を実感し、より活用を広げるべく社内開発とそのためのツールを検討するに至った。さらに同社の顧客にも提案できる商材としての適性を考慮。2020年にクライアント型の「BizRobo! mini」、さらに、サーバー型の「BizRobo! Lite」を導入、移行した。BizRobo!の採用は、ライセンス構成や価格、日本語対応の内容、AI-OCR(AI型光学文字認識)製品との連携機能などの優位性だったとしている。
現在の同社では、同部の約20業務において180体のRPAが稼働。月間で数千明細分の検収書の突合作業などを自動化している。RPAの開発と運用は若手が専任で担当する。RPAの対象業務の選定では、スタッフがヒアリングで候補を提示したり、営業部門の社内業務へ展開したり、RPAの基礎や事例を紹介するセミナーを開催するなどして社内の理解を深め、収集しているという。
こうしたRPAの活用により同社で創出された人的リソースは、年間1000時間に相当するとのこと。RPAの導入で属人化していた作業を分担できるようにもなり、担当者が休暇でも円滑に業務を進められるといったライセンス費用を大きく上回る効果を得ているとする。
同社では、この成果を基に地域のほかの企業にもRPAを提案。例えば、金属加工の灰田鉄工(石川県小松市)は、2人がRPAの社内開発を担当し、20人ほどの事務部門の業務効率化に貢献しているとのこと。小松鋼機は、灰田鉄工など得意先へ負担の少ないRPAの導入手法などを提案しているという。
小松鋼機社内でも引き続き営業事務の効率化や標準化を推進しつつ、RPAを外勤営業の事務負担の軽減や電子帳簿保存法への対応、総務関連業務への応用にも活用する計画。また、年10件ペースの外部販売を通じて、地域の企業におけるRPAのさらなる普及を図りたいという。