Donald Trump米大統領による政権の人工知能(AI)政策発表を約5週間後に控え、大手AI企業は米政府、とりわけ国家安全保障に関係する顧客との関係強化を続けている。
Anthropicは米国時間6月5日、プレスリリースで「米国の国家安全保障に関係する顧客専用」のAIモデル「Claude Gov」シリーズを発表した。Claude Govは、作戦から諜報、脅威分析などあらゆる用途を想定しており、機密文書や防衛関連情報を解釈できるように設計されている。言語や方言に関する能力も向上しているほか、サイバーセキュリティデータの解釈も強化されている。
「Claude Govはすでに米国の最高レベルの国家安全保障機関で導入されており、これらモデルへのアクセスは、こうした機密環境で活動する者に限定されている」とAnthropicは述べている。
Anthropicによると、Claude Govは政府機関ユーザーからのフィードバックに基づいて開発され、(同社がすべての「Claude」モデルに対して実施している)安全性テストの基準を満たしているという。同社はプレスリリースで、安全で責任あるAIを提供するという約束を改めて述べ、Claude Govも例外ではないと保証している。
5カ月ほど前の1月には、OpenAIが「ChatGPT Gov」を発表し、きめ細やかに調整された製品で政府のユースケースに特化するという、大手AIラボにおける大きな社会的変化を示している。米州兵はすでにGoogleのAIを利用して災害対応能力を向上させている。
米政府とAI企業との関係強化は、7月19日に発表が迫るTrump政権の「AI Action Plan」という大きな文脈の中で進行している。Trump大統領の就任以降、AI企業は、もともとAI Safety Institute(AISI)と協力して進めていたBiden政権時代の「責任あるAI」に関する取り組みを調整してきた。これは、Biden前大統領が導入した規制をTrump大統領が撤回したためだ。OpenAIは、政府によるモデルへのアクセスと引き換えにした規制緩和を訴えてきた。同社はAnthropicとともに、科学分野でのパートナーシップや、5000億ドル(約72兆円)規模の「Stargate」計画など、新たなやり方で政府に取り入ろうともしてきた。それに対してTrump政権は、米政府内で進められていたAIなど科学関係のイニシアチブについて、人員と資金を削減している。

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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。