調査

2024年の国内ソフトウェア市場は12.1%成長--IDC調査

加納恵 (編集部)

2025-06-09 10:44

 IDC Japanは、最新の国内ソフトウェア市場における実績と予測を発表した。グローバル売上額は2024年(1~12月)に前年比13.4%増の1兆1005億米ドルとなった。一方、国内ソフトウェア市場は前年比12.1%増の5兆3729億3300万円になったと推定している。

国内ソフトウェア市場 予測、2025~2029年(単位:億円)
国内ソフトウェア市場 予測、2025~2029年(単位:億円)

 国内ソフトウェア市場は、AI/生成AIにおける企業での活用の本格化、アプリケーションのモダナイゼーション更新、サイバーセキュリティ対策の増加などによって国内企業のソフトウェア投資を押し上げ、堅調に成長したと見解を示す。

 特に成長したのは、生成AIを含むAIプラットフォーム市場、AIの学習データ、生成コンテンツを管理する基盤としてのデータ管理とコンテンツ管理市場、AIを活用したカスタマーエクスペリエンス(CX)向上のための顧客関係管理(CRM)アプリケーション市場、サイバーセキュリティ/ガバナンス対策のためのセキュリティソフトウェア市場。

 中でも、パブリッククラウドサービスの売り上げは前年同期比で22.1%増の2兆3386億500万円と高い成長を維持し、全ソフトウェア市場の43.5%を占め、初めて2兆円を超える規模になった。

 市場別の詳細は、アプリケーション開発/デプロイメント市場では、前年比15.8%増、1兆3455億2400万円。AIプラットフォーム市場は高成長を継続し(前年比67.1%増)、アナリティクス/ビジネスインテリジェンス(BI)市場(同15.3%増)、アプリケーション開発ソフトウェア(同10.5%)、データベース/データレイクなどを含むデータ管理市場(同7.5%増)が前回予測を超える成長を遂げ、同市場全体の成長をけん引した。AI活用の本格化に伴う学習データや参照コンテンツの管理や、AIを利用したアプリケーションコード生成やデータ分析などの需要が高まり、市場成長が高くなったとみている。

 アプリケーション市場は、前年比11.6%増、2兆3843億7800万円。CRMアプリケーション市場(同14.6%増)、コンテンツワークフロー管理市場(同14.3%増)、およびERMアプリケーション市場(同12.1%増)が成長をリードした。生成AIやAIエージェントの組み込み/連携が開始されており、業務の自動化やモダナイゼーションに対応した更改要求が強かったという。

 システムインフラストラクチャソフトウェア市場は、前年比9.8%増、1兆6430億3000万円。セキュリティソフトウェア市場(同14.6%)、ストレージソフトウェア市場(同7.3%)が高成長となり、AI活用に向けたデータ保全、データガバナンスとセキュリティ運用など、AI活用に伴う市場拡大があった。

 IDCでは、地政学的不安定、貿易/為替状況の不安定さやインフレーション懸念などにより、国内の経済状況は先行きが不透明な状況にあるとし、企業によるIT投資の成長が緩やかになる可能性があると予測している。そのため、ソフトウェア市場の成長も、2024年と比較して緩やかになると予想。

 しかし、2027年以降は次第に成長は回復するとしており、特に業務効率化のための生成AI/AIエージェントの業務組み込みや、これに伴うデジタルCXにおける自動化、サイバーセキュリティ対策に向けたソフトウェア投資は2025年以降も堅調に成長していくとのこと。国内ソフトウェア市場は2024~2029年の年間平均成長率(CAGR)は10.2%で、成長し、2029年に8兆7261億円に達すると予測している。

 各ソフトウェア大分類市場の2024年~2029年のCAGRは、アプリケーション開発/デプロイメント市場は17.9%、アプリケーション市場は7.1%、システムインフラストラクチャソフトウェア市場は7.0%になるとのこと。

 IDC Japan Software Solutions グループディレクターである眞鍋敬氏は「世界各地の紛争や関税問題、消費者物価の上昇など国内経済状況は不透明感を増しており、企業業績予想に影響を与えている。企業業績の変化はIT投資への変動要因となり、国内IT市場に影響すると予測する。しかし、このような市場背景では業務効率の高い企業が生き残ると考えられ、AI/AIエージェントによる業務の自動化/効率化を企業は活用せざるを得ないだろう。これに伴うデータ/コンテンツ基盤やセキュリティ/ガバナンスは今後さらに重要性が高くなると予測する。これらのトレンドは国内ソフトウェア市場を牽引する要因となり、ITユーザー企業はESG(環境・社会・ガバナンス)に留意しつつAIエージェントの業務適用を開始し、デジタル競争力強化を行っていくべきである」とコメントしている。

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