スーパーのヤオコー、AWSで稼働する店舗システムなどにオブザーバビリティを適用

ZDNET Japan Staff

2025-06-09 11:47

 関東地方のスーパーマーケット大手ヤオコー(埼玉県川越市)は、Amazon Web Services(AWS)で稼働する店舗システムなどを対象に、New Relicのオブザーバビリティ(可観測性)製品を導入した。New Relicが発表した。

 ヤオコーは、埼玉県を中心に関東地方の1都6県で約200店舗を展開する。IT関連では、業務システムのAWS環境への移行、システム開発の内製化、AI需要予測による自動発注システムの全店舗導入などを実施。しかし、クラウド化や内製化に伴うシステムの改変などからシステムの監視ツールも乱立し、それら統合と効率化が課題になった。またシステム監視も、かつてのITインフラ起点ではなく、ECやモバイルアプリ、店舗従業員向けシステムなどのユーザー体験(UX)への影響を起点に観測したい希望が出ていたという。

 そこで同社は、監視ツールの統合とUX起点での観測ができる手段として、New Relicを選択した。まず、社内横断で使用しているAWS基盤に導入し、ITインフラの観測データ収集、アラートを設置、社内関係者がシステム状況を見やすく共有できるようダッシュボードの構築と運用も始めている。既にリアルタイムなデータ観測、問題発生時の迅速な原因特定や対応で一定の効果を挙げているという。

 今後は、クラウド上で稼働する、特にヤオコーの中核となる店舗事業を支える関連システムを優先にNew Relicの導入を拡大する予定。例えば、店舗従業員が端末経由で利用する受発注や在庫管理関連システムの状況をアプリケーション性能監視としてNew Relicで観測し、店舗からのエラー通知よりも早く運用部門が発見、対応できるようにする計画であるという。また、店舗でシステムに問題が生じた際、New Relicで他店舗への影響の有無を特定して、対応範囲を迅速に切り分けられるようにすることも検討中とのことだ。

店舗の業務支援アプリの使用状況をNew Relicで可視化したダッシュボード(出典:New Relic報道機関向け発表資料)
店舗の業務支援アプリの使用状況をNew Relicで可視化したダッシュボード(出典:New Relic報道機関向け発表資料)

 New Relicの導入についてヤオコー 執行役員 デジタル統括部長 兼 CDOの小笠原暁史氏は、「社内に乱立していた監視ツールを統合し、システム全体を可視化する基盤作りに着手した。今後は、ネットワークのパフォーマンス監視やアプリケーションパフォーマンス監視を拡大し、クラウド基盤から店舗デバイス間までをエンドツーエンドで監視できる環境を整備していく。障害ポイントの早期発見・予測が可能になり、結果的に店舗運営の安定化と顧客サービス品質の向上につながると考えている」とコメントした。

 さらに同社デジタル統括部 プロダクト開発 クラウドチーム マネジャーの飯久保友哉氏は、「社内データを統合的に活用した全体監視や予兆の可視化など、個別サービスでは実現困難な点を解決する可観測性基盤がNew Relicだった。現在ダッシュボードの効率的な作成や拡充の取り組みが進み、AWSのマルチアカウント化した環境も統合して管理できている。今後は部門全体で社内データのモニタリングと分析、インサイトを得るためのメインツールとして活用を進め、将来的には障害時に専任担当でなくとも簡単に状況が把握できるような状態を目指す」と述べている。

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