Appleは米国時間6月9~13日、年次開発者会議「WWDC 2025」を開催している。9日の基調講演では、同社が提供する全てのOSに対してユーザーインターフェース(UI)を大幅に刷新し、新機能やアプリを追加するほか、「Apple Intelligence」の強化を図る計画であることを発表した。
1. Liquid Glass

提供:Apple
最も注目を集めた発表の1つは「Liquid Glass」の公開だった。これは「クロスプラットフォームの新たなデザイン言語」であり、「iOS 7」以来となるUIの大規模な刷新をもたらすものだ。
「visionOS」から着想を得たLiquid Glassは、Appleの各OSに半透明の視覚効果を導入し、UIの一部がまるでガラスのように見える。色彩は周囲のコンテンツに応じて動的に変化し、例えば「Safari」上のメニューボタンは、表示されるニュース記事の色調に合わせて、スクロールに応じて赤や白、黒へと滑らかに移り変わる。
Liquid Glassの導入に伴い、ナビゲーションコントロールやツールバーは、透明感と丸みを帯びたデザインへと刷新された。これらのツールバーは半透明で、背後のアプリが曇りガラス越しに見えるような視覚効果を生み出す。特に注目すべきは、これらのUI要素が動的に変化し、画面上のコンテンツに応じて柔軟に適応する点である。
「iPhone」のロック画面に表示されるデジタル時計は、画面上のコンテンツに応じてサイズが変化するようになった。例えば、オブジェクトが画面の大部分を占める場合、時計は自動的に縮小される。
Liquid Glassは、今秋からiPhone、「iPad」「Mac」「Apple Watch」「Vision Pro」に順次導入される予定だ。
2. iOS 26

提供:Apple
Appleは次期iOSアップデートで命名規則を刷新し、バージョン番号ではなくリリース年に基づいた名称を採用する。これにより、「iOS 19」ではなく「iOS 26」となる。
Liquid Glassの導入に加え、幾つかの標準アプリも刷新される。電話アプリでは、お気に入り、履歴、留守番電話が統合された新しいレイアウトが採用され、Apple Intelligenceを活用して留守番電話の要約も可能になる。さらにCall Screening機能により、相手に通話の目的を尋ね、ユーザーが応答するかどうかを判断できるようになった。筆者が特に注目したのはHold Assist機能だ。保留中でも順番を保持し、オペレーターが応答するタイミングで通知してくれる。
メッセージアプリでは、不明な送信者からのメッセージをフィルタリングできるようになり、グループチャットには投票機能が追加された。ロック画面の壁紙には3D効果が加わり、2D写真が動きのある画像に変化する。
3. macOS Tahoe

提供:Apple
AppleはmacOSの新バージョンに「macOS Tahoe」と名付け、カリフォルニアの地名を冠する伝統を継続した。Liquid Glassが導入され、ドックやサイドバー、ツールバーが半透明のデザインに再構築されたことで、画面の表示領域が広がり、UIの煩雑さが軽減された。
見た目だけでなく、機能面でも進化がある。電話アプリがMacに搭載され、iPhoneとの連携がさらにスムーズになった。通話履歴や連絡先へのアクセスに加え、Hold AssistやCall Screeningも利用可能だ。
Spotlight検索も強化され、検索結果は関連性の高い順に表示されるようになった。PDFやメールの検索がしやすくなり、クラウドドライブ上のドキュメントも対象に含まれる。
さらに、ゲーマー向けには新しいゲームアプリが登場。ゲーム中に設定変更や通話、フレンド招待が可能なGame Overlay機能が搭載され、最新情報も一目で確認できる。
4. iPadOS 26

提供:Apple
「iPadOS 26」でもLiquid Glassが採用され、UIが一新された。特に注目すべきは新しいウィンドウシステムで、アプリやウェブページのサイズを自由に調整できるようになった。
アプリの右下にあるグラブハンドルを長押しすることで、ウィンドウを自在にリサイズ・移動可能になる。画面の片側にスナップしたり、2×3のグリッドに整理したりと、レイアウトはユーザー次第。縮小してもウィンドウの形状は維持され、Exposeのような機能で素早く切り替えられる。
Apple Intelligenceも進化し、Live Translationsがテキスト、FaceTime、通話でリアルタイム翻訳を提供。キャプションと音声の両方に対応し、iPhoneでも利用可能になる。
5. watchOS 26

提供:Apple
watchOS 26では、Apple Intelligenceが「Apple Watch」でより大きな役割を果たすようになる。新機能のWorkout Buddyは、過去のフィットネスデータを活用し、リアルタイムで運動中のアドバイスを提供。デモでは、年間の走行距離やペースをユーザーに伝える様子が紹介された。ワークアウト終了時には統計の要約が表示され、目標達成時には祝福のメッセージも表示される。
通知機能も進化し、周囲の音量に応じてアラート音が自動調整されるようになった。さらに、新しい手のジェスチャーにより、手首を軽く振るだけで通知を消したり、通話を拒否したりできる。

提供:Elyse Betters Picaro / ZDNET
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。