IBMとレッドハット、HashiCorp、AI時代に向けたシステム統合と自動化の戦略を語る

國谷武史 (編集部)

2025-06-10 16:21

 日本IBMとレッドハット、HashiCorp Japanは6月10日、共同で推進する「自動化」戦略をテーマに説明会を開催した。企業のAI導入が加速する中でITシステムは今後ますます複雑化し、各種リスクも高まることが懸念され、包括的な統合化と運用の自動化が必須になるという。

 説明会の冒頭、日本IBM 取締役専務執行役員 テクノロジー事業本部長の村田将輝氏は、IBMの戦略の基礎はハイブリッド/マルチクラウドが前提と切り出した。現在の企業のITシステムは、メインフレーム、ミッションクリティカル、オープン系、オンプレミス、クラウド、エッジと多種多様化し、これにAIも加わって複雑性がさらに増し、混沌(こんとん)とした状態にあると述べる。

 他方で、現在のシステム運用部門は、人手不足や人材獲得難の課題に直面し、運用管理するシステムが今後さらに増えてもリソースを拡充できる可能性も乏しく、システム障害の発生リスクの高まりといった懸念を抱えていると指摘する。

 村田氏は、4月にCA/BrowserフォーラムがSSL/TLS証明書の有効期限を現在の最長398日から段階的に短縮し、2029年3月15日以降に最長47日とする方針を決定したことを挙げた。証明書の更新が月次に近い頻度になれば、現在主流の手作業では対応が極めて困難になり、万一証明書の失効に気付くことができなければ、証明書の検証エラーでシステム間の通信ができず、ユーザーへのサービス提供ができない事態に陥る危険がある。

(説明会資料より)
(説明会資料より)

 同氏は、AIの普及拡大と同時にさらに複雑化するシステムを安定して運用するには、自動化が必須だと説く。IBMはこれまでに買収・合併(M&A)などを通じて多くのソリューションを獲得し、多様なシステムの包括的な統合と自動化、システム運用の高度化を推進していると強調。「IBMとレッドハット、Hashi Corpは現在と未来をつなぐことがミッション」とも述べ、5月の年次カンファレンス「IBM Think 2025」で発表した「IBM webMethods Hybrid Integration」を中心に、ハイブリッド/マルチクラウドの包括的な自動化への取り組みを進めていくと説明した。

 次いで登壇した日本IBM 理事 テクノロジー事業本部 オートメーション事業部長の上野亜紀子氏は、IBM webMethods Hybrid Integrationの特徴として(1)統合体験の変革、(2)AIエージェント連携とローコード/ノーコード、(3)ハイブリッド/マルチクラウドの管理――の3つを挙げた。国内提供の開始は6月16日を予定しているという。

 IBM webMethods Hybrid Integrationは、インテグレーション・アズ・ア・サービス(iPaaS)になり、(1)についてタイプの異なる複数システムを1つプラットフォームとして一元的に管理できるとし、(2)ではシステム間の新規接続を容易に実装できるなどの生産性の向上、(3)ハイブリッド/マルチクラウド管理の簡素化といった効果をもたらすとした。

(説明会資料より)
(説明会資料より)

 当初のシステム連携は、IBMグループの製品が中心となるが、今後はエコシステムパートナーにも順次拡大していく計画であるという。

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