包装資材や文具の卸売を行うシモジマは、インフォマートとinvoxが協業で提供する「発注書AI-OCR(invox)」を導入した。これにより、月間約5000枚に及ぶファクス発注書の手入力作業を大幅に削減し、受注業務にかかる時間を半減させた。インフォマートが6月10日に発表した。
invoxは「BtoBプラットフォーム 受発注ライト」の有料オプション機能。ファクスやメール(PDF)で受け取った発注書をデータ化し、受発注ライトに自動連携する。その受注データを受発注ライトから基幹システムに取り込むことで、全ての受注をデータ化し、入力作業を削減できる。
シモジマは1920年創業で、約10万点以上の豊富な品ぞろえと5000社以上の取引先を持つ。しかし、導入前の受注業務では、ファクス発注書の手作業によるデータ入力が大きな負担となっていた。ファクス発注書は発注書全体の約30%を占める。商品コードの記載がない発注書では、カタログでコードを探す手間も発生していた。さらに、基幹システムへの入力には最低3人の人員が必要で、ミスが発生すれば、さらなる人員が必要になることも課題だった。
同社はEDI比率80%を目標としていたものの、導入前は70%にとどまっていた。業務効率化と目標達成のため、複数社のOCRシステムを検討した結果、インフォマートのサービスに対する信頼感と充実したサポート体制が決め手となり、invoxの導入を決定した。受発注ライトとの連携も容易だったため、開発費用を抑えられる点も導入を後押しした。
導入効果は顕著で、手作業による入力が大幅に削減され、受注業務の作業時間は半分になった。これまで3人以上を要していた作業が、実質1~2人で対応可能になったという。6月現在、月間約3万枚のファクスのうち、4000~5000枚がinvoxで基幹システムに取り込まれているという。
さらに、この導入により社内のデジタル化への意識向上にも貢献したという。「このファクスもOCR処理できるのでは」といった提案が活発化し、AIの学習効果を積極的に試す社員も増えたことで、EDI比率は導入前の70%から80%に向上した。
シモジマは今後、現在の月間処理数約5000枚から1万枚への増加を目指し、読み取れるファクスフォーマットを増やしていく方針だ。これにより、1人当たりの生産性もさらに向上すると見込んでいる。将来的には、経理部門など他の部門でもinvoxの活用を検討し、全社的なDXを推進していく考えだ。