シスコ、AI時代に向けたデータセンター戦略を発表

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 佐藤卓 吉武稔夫 (ガリレオ)

2025-06-11 10:12

 Cisco Systemsは米国時間6月10日、ネットワーク関連の年次カンファレンス「Cisco Live」で、人工知能(AI)のワークロードに対応した新しいソリューションを発表した。これにより、企業やサービスプロバイダーは、自社のデータセンターを複雑化することなくモダナイズできるという。

 この日の発表は、統合型高性能ネットワークチップアーキテクチャー「Cisco Silicon One」を中心とした新しい話が中心となった。Silicon Oneは、データセンター、サービスプロバイダー、AIと機械学習のクラスター、および企業ネットワークにおいて、ルーティングとスイッチングを実行できるように設計されたシリコンアーキテクチャーだ。従来のアプローチでは、ルーティングとスイッチング、サービスプロバイダーと企業など、ネットワークの役割ごとに異なるシリコンアーキテクチャーが必要だった。だが、Silicon Oneなら、これらすべての環境に導入できる単一の柔軟なアーキテクチャーを提供し、設計、導入、運用を簡素化できる。

 このアーキテクチャーは、AIと機械学習に欠かせない大規模なGPUクラスターを接続できるように設計された「Cisco Nexus 9000」シリーズスイッチに採用されている。Nexus 9000シリーズはGPUクラスターを数十から数千までスケールアップできるようにできており、モジュール式アーキテクチャーにより、AI需要の増加に合わせてネットワークを拡張できるというのが、Ciscoの説明だ。

 そして今回、Ciscoは次世代のスイッチにNVIDIAのアプリケーション専用集積回路(ASIC)である「NVIDIA Spectrum-X」を搭載することを明らかにした。このASICは、Ciscoのデータセンタースイッチオペレーティングシステム「Cisco NX-OS」の最新バージョンで動作できるという。

 このアーキテクチャーは、デバイス1台あたり最大で51.2Tbpsの帯域幅をサポートするものになる。企業は高性能なAIサービスを提供するために、自社のデータセンターでこのレベルの帯域幅を必要としている。

 Ciscoはまた、「Intelligent Packet Flow」と呼ばれる機能を提供する予定だ。この機能により、リアルタイムテレメトリーを使用してトラフィックをAIファブリック全体で動的に制御できるため、パフォーマンスの最適化や問題の事前検出が可能になる。さらに、「Cisco AI Assistant」を「Cisco Nexus Dashboard」に統合し、自然言語クエリーとインテリジェントな提案によってトラブルシューティングを簡素化するという。

 なお、CiscoとNVIDIAはAI固有のセキュリティ上の課題に対応するため、以前から「Cisco Secure AI Factory with NVIDIA」アーキテクチャーの構築を進めている。

 Cisco Secure AI Factory with NVIDIAは、ネットワーキングについてはCiscoのSilicon OneとNVIDIA Spectrum-Xをベースとし、コンピューティングについては「Cisco Unified Computing System」(UCS)サーバーを採用している。これらのサーバーの基盤となっているのは、「NVIDIA HGX」と「NVIDIA MGX」プラットフォームだ。さらに、ソフトウェアについては「Cisco AI Defense」を採用している。

提供:NurPhoto/Getty Images
提供:NurPhoto/Getty Images

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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