Datadog、「Bits AI」エージェントをSRE・開発・セキュリティ領域に拡張--Cursor創業者「成長支えたツール」

末岡洋子

2025-06-12 07:00

 Datadogは米国時間6月10~11日、米ニューヨークで年次イベント「DASH 2025」を開催した。同イベントでは、Site Reliability Engineering(SRE)やセキュリティアナリストなどの作業を効率化する「Bits AI」エージェント群などが発表された。

Cursor共同創業者:Datadogが優秀でなかったら成長は鈍化していた

 Datadogは創業から15周年を迎える。同社は当初、開発と運用の隔たりをなくすためのDevOpsプラットフォームを構築し、その後、クラウドモニタリングによって急速に成長した。2019年には新規株式公開(IPO)を実施し、この1年間は四半期ごとに前年同期比25%の成長を維持している。現在、Fortune 100企業の62%がDatadogを利用しており、AI企業トップ10のうち8社が顧客となっている。

 共同創業者で最高経営責任者(CEO)のOlivier Pomel氏はステージに登壇し、前回のDASHイベントから1000以上の新機能や製品をリリースしたことに言及しつつ、顧客との共創姿勢と研究開発への投資を強調した。

 「世界は毎日のように再構築されている。AIによってそのペースは加速しているが、機会だけでなく複雑性も増している。われわれの最優先事項は、Datadogの顧客がリスクを排除し、ハッピーかつ生産的に技術の波に乗れるようにすることだ。そのため、顧客と共に構築することに注力している」(Pomel氏)

DatadogのOlivier Pomel氏
DatadogのOlivier Pomel氏

 具体的には、「監視」(オブザーバビリティと分析)、「セキュリティ」(セキュリティとガバナンス)、「行動」(AIと自動化)の3つを軸に事業を展開している。

 もう1人の共同創業者で最高技術責任者(CTO)のAlexis Le-Quoc氏は、DatadogのAIリサーチが発表した時系列基盤モデル「Toto」とベンチマーク「BOOM」を紹介した。これらはオブザーバビリティのメトリクスに特化し、Datadog独自のテレメトリーデータを用いて学習されており、オープンソースとして公開されている。

 同氏は「汎用の基盤モデルが高度化し、推論に焦点が移りつつある中で、用途特化型のモデルが求められている」と語った。Pomel氏は報道向けのラウンドテーブルで「オブザーバビリティに限らず、時系列の予測全般で利用できる」と補足した。

DatadogのAlexis Le-Quoc氏
DatadogのAlexis Le-Quoc氏

 基調講演には、AIコードエディター「Cursor」で知られるAnysphereの共同創業者、Sualeh Asif氏が動画で登場し、Datadogがその成長を支えたと述べた。

 同氏によると、「Cursorの使命は、プログラミングの最も退屈な部分を自動化し、開発者がアイデアからコードへと可能な限り迅速に移行できるようにすることだ」という。そのアイデアが受け入れられ、Cursorは過去6カ月で100倍以上という驚異的な成長を遂げているという。

 Asif氏はさらに、「われわれの主力モデルは1日に約100万回のAPIコールを処理し、数千億のファイルを扱っている。これを支えるスケーリングにおいてDatadogは重要な役割を果たしている」と続けた。

 加えて、「現在のモデルは実際に発生している全てのエラーや、コードが遭遇する可能性のある全てのエッジケースを把握できない。それを確認するのに最適な場所は現時点ではDatadogだ」と述べ、「Datadogで集約したデータをCursorに渡し、コードベースとユーザーの取り組みを理解する能力を組み合わせて問題を修正できるようになれば、さらに便利になる」と提案した。

 Asif氏は「Datadogのおかげでオブザーバビリティがスケールし、われわれは一切心配することはない。もしDatadogが優秀でなかったら、Cursorの成長はもっと遅く、クラッシュが発生していただろう」と述べ、Datadogの貢献を高く評価した。

「Cursor」で知られるAnysphereのSualeh Asif氏
「Cursor」で知られるAnysphereのSualeh Asif氏

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