安藤ハザマとコベルコ建機は、建設現場での自動運転ショベルの長期安定運用と安全性の確保に関する検証を完了した。これにより、自動運転ショベルの本格的な実用化に目途が立った。安藤ハザマが6月12日に発表した。
両社は2019年4月に共同研究協定を結び、油圧ショベルの自動運転システム開発に取り組んできた。これまでに、ティーチングとプレイバックによる単純な自動運転の確認、AIによる土砂形状やダンプトラック荷台位置の自動調整機能の実装を進めてきた。2021年12月には実作業環境での基本機能と、AIによる侵入物体や人の検知、危険度に応じた警報発報の仕組みを確認している。自動運転ショベルにおいて、ティーチングとはプログラム作成のために重機の動作を「記録」すること、プレイバックとはその記録した動作を「再生」することを指す。
さらに2023年12月には、コベルコ建機の遠隔操作システム「K-DIVE」と自動運転の複合稼働に関するルールを策定し、2024年2月には施工管理要員のみで自動運転システムの設定から稼働までを半日でできることを確認した。

遠隔操作との組み合わせによる運用

安全ルールVer1.0に沿ったエリア設定
今回の実証実験は、安藤ハザマが施工中の「R5霞ヶ浦導水石岡トンネル(第3工区)新設工事」で行われた。約2カ月間(2025年4〜6月)にわたり、有人ダンプへの掘削土砂積込作業を繰り返し実施した。シールド掘削現場特有の土砂排出量や土砂質の環境変化には、タブレットによる調整機能で柔軟に対応した。また、ダンプトラックの停車位置変化に対しては、拡張現実(AR)コンテンツを表示させるための目印となる「ARマーカー」などを使わず、新たに開発した物体検知機能で対応し、長期運用を実現した。
なお安全性確保のため、国土交通省の「自動施工における安全ルールVer.1.0」に基づき、無人エリアや立ち入り禁止エリアを設定した。無人エリアでは、K-DIVEによる遠隔操作と自動運転を組み合わせて無人作業を実施している。車両走行路や建屋が近く、自動施工エリアの確保が難しい場所では、自動運転ショベルの動作経路逸脱検知機能や、レーザーバリアセンサーとの連携によるエリア監視機能を活用し、長期にわたる作業を無事故で完了させた。
今回の検証結果を受け、両社は現場での自動運転ショベルの本格展開と実用化が可能だと判断している。今後は、自動運転ショベルの適用工種の拡大と現場展開に向けた取り組みをさらに加速させる方針だ。