アドビ、「LLM Optimizer」を発表--AI時代のデジタルマーケティングツール

Webb Wright (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 佐藤卓 吉武稔夫 (ガリレオ)

2025-06-17 09:43

 Googleは長年にわたり、オンライン広告業界で事実上の唯一のゲートキーパーとして、どのブランドをユーザーの目に触れさせ、どのブランドをその他大勢の中に埋もれさせるかを決定してきた。しかし、この構図がゆっくりではあるが、確実に変化し始めている。人々がオンラインで情報を探す際に、「ChatGPT」などの人工知能(AI)チャットボットを利用することが増えているからだ。ブランドはこの変化に対応して、マーケティング戦略を調整する必要に迫られている。

 Adobeは米国時間6月16日、インターネットの世界を席巻している大規模言語モデル(LLM)の台頭を広告主が活用できるようにするプラットフォームを発表した。

 「Adobe LLM Optimizer」と呼ばれるこの新しいプラットフォームは、広告業界最大の年次イベントの1つである「Cannes Lions」で発表された。ブランドの顧客がAIチャットボットとのやりとりに費やす時間が増える中で、LLM Optimizerはマーケティングチームがブランド認知度を追跡するのに不可欠なツール群を提供する。

 「生成AIインターフェースは、カスタマージャーニーのあらゆる段階で、顧客が(ブランドを)発見し、(そのブランドと)関わりを持ち、購入を決定するための主要なツールとなりつつある」と、「Adobe Experience Cloud」の戦略および製品担当バイスプレジデントを務めるLoni Stark氏は声明の中で述べている。「Adobe LLM Optimizerを利用することで、ブランドはこの新たな環境で自信を持って活動できるようになり、重要なタイミングで差別化を図って成果を上げることが可能になる」

LLM Optimizerの仕組み

 Adobe LLM Optimizerは、ChatGPTや「Gemini」「Claude」をはじめとするさまざまな生成AIツールを横断してブランドのパフォーマンスを可視化するツールと考えればいい。とりわけ重要なのは、このプラットフォームによって、検索エンジン最適化(SEO)担当者やデジタルマーケターなどが、ブランドをより目立たせるために、オンラインコンテンツの公開に関する戦略を素早く調整することもできる点だ。

 例えば、マーケターはユーザーのクエリーに対するLLMの応答に自社のコンテンツ(ウェブサイトへのリンクなど)が含まれた場合に、通知を受け取ることができる。そのため、AIツールの出力結果に自社ブランドがいつ、どこで、どのように表示されているのかが明確になる。その上、顧客がどのような質問をしているのかも把握できるため、マーケティング戦略をさらに洗練させることが可能だ。

 また、このプラットフォームは「レコメンデーションエンジン」を搭載しているため、LLMの応答を継続的に監視し、ブランドの認知度を高めるためにオンラインコンテンツをどう調整すべきか提案してくれる。

提供:Adobe
提供:Adobe

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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