イオン住宅ローンサービスは、基幹業務を支える融資管理システムをはじめとしたシステム基盤を「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」上の「Oracle Autonomous Database」へ全面移行した。日本オラクルが6月17日に発表した。
同社は、イオンフィナンシャルサービスのグループ会社で、投資用マンションローンを提供している。従来のオンプレミス環境では、ハードウェア保守の終了やセキュリティパッチの適用遅延、災害復旧(DR)構成の強靭化といった課題を抱えており、特に少人数体制の情報システム部門において、持続的かつ安全な運用の確保が大きな経営課題となっていた。
こうした状況を背景に、「Oracle Cloud Lift Services」による実現可能性調査と概念実証( PoC)を経て、OCIへの本格移行を決定。2024年4月に開始されたプロジェクトは約1年という短期間で本格運用を開始している。融資管理を担う社内処理システムに加え、業務・管理系システム、リモートワーク対応のシンクライアント環境を含むシステム基盤全体がOCIに移行された。
移行により、セキュリティパッチの自動適用やデータの暗号化が可能となり、従来課題だったセキュリティ対応の遅延を解消した。また、「Oracle Autonomous Data Guard」による東京・大阪間のリアルタイム同期により、データ損失リスクを大幅に低減している。さらに、ビジネス成長に応じた迅速なリソース調整が可能となり、少人数の情報システム部門でも高度なセキュリティ、可用性を維持しながらの安定稼働を実現した。
今後は、業務データと生成AI技術を組み合わせた検索拡張生成(RAG)による業務活用や、自然言語によるデータベース問い合わせなどの革新的な取り組みも視野に入れている。