パナソニック ホールディングス DX・CPS本部デジタル・AI技術センターは、プライベートLTE通信サービス「xGsPod(エッグスポッド)」を発表。2025年10月以降に商品化し、ソリューション提案を中心とした販売を開始する。
xGsPodは、手軽にプライベートネットワークを構築できる無線基地局で、専用ネットワークエリアの設計を、自由に行えるのが特徴だ。
筐体サイズは、高さ59mm×幅209mm×奥行き146mmのボックスティッシュ箱程度の小型化を実現。施設やオフィスの中でも場所を取らずに設置することができる。プライベートLTE(1.9GHz帯)のほか、Wi-Fi(5GHz帯/2.4GHz帯)や、IoTなどに対応した920MHz帯、イーサネットおよび光回線といった多彩な通信方式に対応し、無線によるスマホ接続のほか、カメラ、環境センサー、人感センサー、モニター、プリンター、ワイヤレスボタンなどのさまざまな機器とのネットワーク接続が可能になる。

プライベートLTE通信サービス「xGsPod(エッグスポッド)」
パナソニックホールディングスDX・CPS本部デジタル・AI技術センター ワイヤレスネットワークソリューション部 主幹の北川治彦氏は、「LTEを採用しているため、施設内の通話品質が高い。また、5GHz帯/2.4GHz帯への対応により、さまざまな機器との接続ができる。IoTやロボットとの接続も可能になる」としている。
例えば、介護施設では、構内PHSや構内交換機(PBX)、ナースコールシステムなどを導入し、PHSとスマートフォンの2台持ちといった使い方がされているが、xGsPodを導入することで、職員間コミュニケーションや入居者の見守りなどの作業をスマホ1台で完結。ワイヤレスコールへの対応、ハンズフリーによるグループ通話、現場の映像確認、通話内容のスタッフ間での共有、電子掲示版として活用などが可能になる。これにより、円滑な職員間コミュニケーションを実現したり、入居者の見守りの強化につなげたりできる。

スマホには「Panasonic LTE」と表示されており、プライベートLTEに対応していることが分かる

搭載しているコミュニケーションツールの画面

まずは状況を確認したいという場合には映像の表示が可能だ
パナソニックホールディングス DX・CPS本部デジタル・AI技術センター ワイヤレスネットワークソリューション部1課 課長の金澤岳史氏は、「xGsPodは、施設内では半径100m程度までの通信が可能であり、1台のxGsPodで、約30台のスマホやインカムなどが接続できる。また、複数フロアに展開する場合には、1フロアに1台ずつ設置してもらい、それをLAN配線で結んだ利用が可能になる」とし、「施設内のコミュニケーションやナースコールは、介護施設においては、確実に通話ができる環境を実現しなくてはならないミッションクリティカル性が求められる。プライベートLTEを活用することで、干渉に弱いWi-Fiルーターとは異なる信頼性が実現できる」とした。

インカム機能を使用しているところ。複数の職員が聞くことができる

ナースコールの機能。職員がすぐに確認できる
xGsPodには、コミュニケーションを行うためのアプリケーションソフトなどを搭載しているほか、API連携により、さまざまな機器の制御が行えるようになっているのも特徴だ。搭載したアプリケーションは、設置するだけですぐに利用できるという。
搭載しているコミュニケーションアプリでは、1対1の通話、グループでの通話、チャットなどの利用ができ、インカムにも対応している。部屋からのワイヤレスコールによる呼び出しに対しても、グループチャットで受け取ることができ、迅速な対応や、職員間での対応状況の共有が可能になる。

ナースコールの対応については定型文で迅速に返事ができる
さらに、自然災害発生時などに、通信キャリアによる通信が途絶えても、電源を確保できれば、xGsPodにより施設内のネットワークを維持でき、日常業務を継続できるという。ここでは、オプションとして無停電電源装置(UPS)を導入し、PoEのスイッチングハブに接続することで、非常時に電源を確保することも可能だ。
xGsPodの価格は300万円前後を想定している。なお、複数フロアに拡張する際の端末は、機能が異なるため、1台40~50万円になると見込んでいる。