横河電機は6月18日、オランダのShell Global Solutions International(Shell)と、プラント保全におけるロボットやAIの技術開発の促進を目的に協業を開始すると発表した。これに基づき、Shellが開発するマシンビジョンツール「Operator Round by Exception」と横河電機の「OpreX Robot Management Core」を組み合わせ、エネルギーや化学などの製造現場に提供する。
今回の協業は、Shellが2022年に設立した将来のエネルギーソリューション開発のための産官学連携の「エネルギー・トランジション・キャンパス・アムステルダム」を通じた両社の最初のプロジェクトになるという。両社は、コンピューターやシステムなどから取得した画像データを解析、活用するマシンビジョンでの開発、強化を目指すとし、研究開発ロードマップに関しても協力していくという。
ShellのOperator Round by Exceptionは、マシンビジョンとAIによる分析技術で、ロボットがプラントを巡回点検する際に現場計器や指示計の読み取り、液漏れや機器の不具合のチェックなどの多くのタスクを自律的に実行する。横河電機のOpreX Robot Management Coreは、ロボット管理プラットフォームのソフトウェアになり、プラントの保守作業を実行するさまざまな種類のロボットを一元管理できる。プラントの制御システムや安全計装システムに接続して取得したデータをロボットの指示に活用することもできるとしている。

協業の概要イメージ(出典:横河電機)
横河電機は、OpreX Robot Management Coreにより自律的なプラント運用への展開を進めることができ、Operator Round by Exceptionとの組み合わせで、活用が大きく広がると説明する。今後は、Shellの2つの施設において、ロボットとドローンによる巡回を試験的に展開し、プラント監視と保守の効率化などについて効果を検証するという。
横河電機との協業についてShellの上流およびプロジェクト&テクノロジー最高情報責任者(CIO)を務めるGerben de Jong氏は、「両社は長年、当社施設のための高度な自動化ソリューションの共同開発を行ってきたが、今後さらに協力関係を強化する。ロボットソリューションとAIを組み合わせることで、生産性と安全性に大きな変革をもたらす可能性がある」とコメントしている。