調査

2027年にはビジネスの意思決定の半分はAIが担う時代に--ガートナー予測

Webb Wright (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2025-06-20 07:25

 AIエージェントは、今や至るところで見かけるようになり、その存在感は急速に広がっている。大手テクノロジー企業は、巨額のAI投資に対する成果を求める投資家の期待に応えるべく、次々とエージェント型AIツールを市場に投入している。一方で、中小企業も同様に高い関心を示し、積極的にこれらの技術を導入しているようだ。

 Gartnerは、AIエージェントが今後のビジネスにおいてますます重要な役割を果たすと予測している。同社が発表した「Data & Analytics Predictions」の最新レポートによると、今後2年間で、企業の意思決定の半数がAIエージェントによって完全に自動化されるか、少なくともその支援を受けるようになるという。

 レポートではさらに、「Gartnerは(データおよびアナリティクスの)責任者に対し、組織の成功に直結する意思決定や、AIとアナリティクスの活用によって効果が高まる意思決定を見極め、優先順位をつけるために、ビジネス部門の関係者と連携することを推奨する」と述べられている。

 テクノロジー開発者たちは、エージェントを従来のチャットボットよりも高度で洗練された存在として位置付けている。これらのエージェントは、個人や企業の代わりにタスクを遂行するために、各種アプリケーションやデジタルツールと連携し、人間の創造性や生産性を高める役割を果たすとされている。

 AIが担うのは日常的な些細な判断だけにとどまらない。Gartnerのレポートによれば、2029年までには、世界の役員会の約10%が、重要な経営判断を下す際にAI(おそらくエージェントを含む)の支援を活用するようになると予測されている。レポートでは、こうした自動化されたトップレベルの意思決定が具体的にどのように行われるかについては詳細に触れていないが、役員会のメンバーに対しては、AIの活用とガバナンスに関する方針を策定し始めることで、この流れに先んじるよう推奨している。

 レポートの著者らは、「これにより、AIを戦略的な助言者として活用しながら、信頼性とコントロールを維持できる」と述べている。

 このレポートは、AIの役割が拡大することで人間の関与が不要になるとは述べていない。むしろ、質の高いデータと適切なガバナンスを維持するためには、人間による継続的な監視が不可欠であることを強調している。

 また、AIエージェントの急速な普及に備え、企業が人材のスキルアップに取り組む重要性も指摘されている。特に、今後2年間でAIリテラシーに関する幹部向けの研修を重視する企業は、そうでない企業に比べて最大20%高い収益を上げる可能性があると予測されている。

 さらに、Gartnerのレポートでは、データおよびアナリティクスの専門家に対し、合成データの管理を効率的に行うこと、自社で生成AIモデルを構築すること(外部サービスへの依存を避ける)、そしてモデルの出力品質を高めること(具体的には、ハルシネーションの抑制)を優先すべきだと推奨している。

 Gartnerの最新レポートを読むと、ほんの1~2年前まではほとんど知られていなかったAIエージェントが、今や民間企業における技術の中核的存在となったかのような印象を受ける。その急速な進展に、多くのビジネスリーダーがイノベーションと導入のスピードに追いつこうとしながら、戸惑いを感じている可能性がある。

 また、Cisco Systemsの最近の調査では、2028年までにテクノロジーベンダーとのカスタマーサービスのやりとりの約4分の3がAIエージェントによって自動化される可能性があることが示されている。さらに、Forresterもこの技術を、ビジネス環境を大きく変える可能性を持つ最も有望な新興技術の1つとして位置付けている。

提供:Getty Images/Eugene Mymrin
提供:Getty Images/Eugene Mymrin

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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