静岡市上下水道局は、衛星データやAIを活用し持続可能な水道事業の実現を支援する水道デジタルトランスフォーメーション(DX)ソリューション「天地人コンパス 宇宙水道局」を導入した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)認定の宇宙ベンチャー天地人が6月19日に発表した。
日本では水道管の老朽化を背景に全国各地で大規模な漏水事故が相次いで発生している。国内には約17.6万km(約23.6%)の管路が法定耐用年数を超え、現状の手法では経年管の点検・維持・修繕を実施するには多額の費用がかかる。加えて、広域かつ短期間での実施は困難とされている。さらに今後は、少子高齢化・人口減少により料金収入や職員数の減少が見込まれ、問題の深刻さが増している。
こうした中で、静岡市上下水道局では「しずおか水ビジョン(未来へつなげる挑戦と連携)」を掲げ、老朽化した施設や管の維持管理、震災をはじめとする災害対策など、さまざまな取り組みを進めている。

静岡市×天地人コンパス宇宙水道局
天地人コンパス 宇宙水道局は、衛星データを活用して約100m四方のメッシュ単位で漏水リスクを5段階で診断し、管路ごとのリスク診断と組み合わせることで、水道インフラの状態をより細かく把握し、効率的な維持管理を可能にする。また、管路診断結果に基づく「健全度」と、一般住宅から重要給水施設まで、あらゆる施設や暮らしへの影響を包括的に考慮した「重要度」を組み合わせて複数の「更新優先シナリオ」を作成し、地域課題や目的に応じた柔軟な設定による管路更新計画策定を支援する。
天地人は、長年蓄積されてきた自治体のデータと最新の衛星技術を融合させることで、従来の聞き取り調査や更新計画といったアプローチを進化させるとしている。