HPE Discover

HPEネリCEO、「AI時代にIT基盤の整備は不可欠」と強調--「GreenLake Intelligence」など発表

末岡洋子

2025-06-26 06:30

 Hewlett Packard Enterprise(HPE)は米国時間6月23~26日、ネバダ州ラスベガスで年次カンファレンス「HPE Discover Las Vegas 2025」を開催している。HPEとして再出発して10年が経過し、当初掲げた「ハイブリッド」に加え、現在は「AI」と「ネットワーク」を3本柱として戦略を推進している。24日の基調講演には最高経営責任者(CEO)のAntonio Neri氏が登壇し、多数の新製品やサービスを発表した。

AI活用における4つの課題と、インフラベンダーHPEが掲げる3つの柱

 基調講演は2024年と同様に、ラスベガスの球体型アリーナ「Sphere」で開催された。Neri氏が特に強調したのは「アンビション(Ambition、野心)」という言葉である。

 「野心は人間のイノベーションを定義する要素であり、社会を前進させ、産業に破壊的な変化をもたらし、人々の生活を変革させる」(同氏)

 これまでのITも野心の実現を支えてきたが、AIの時代はさらに強力な実現手段となるとNeri氏は強調する。そこで同氏は、「AIは世界を変革しており、その変化はわれわれの理解を超えるスピードで進行している。ビジネス、生活、社会のあらゆる側面に組み込まれていくだろう」と語った。

HPEのAntonio Neri氏
HPEのAntonio Neri氏

 Neri氏によると、「生成AI」が仕事のやり方を変えるものであるのに対し、現在の潮流である「エージェント型AI」はワークフローを自動化し、リアルタイムでの意思決定やビジネス効率を支えている。さらにその先には、「フィジカルAI」として物理世界での適用が進むと予想する。ロボットや自動運転車などがその一例であり、物理世界でのやりとりが大きく変化するだろうと同氏は見ている。なお、HPEは今回のイベントで、ロボット企業のSkild AIとの提携を発表している。

 AIの活用は待ったなしの状況だが、顧客は主に4つの課題に直面しているとNeri氏は指摘する。

 1つ目はレガシーIT(「レガシーITではAIを支えきれない」)、2つ目はデータ主権(「規制の要件が高まっており、データの保存場所の見直しが進んでいる」)、3つ目はコスト増(VMware by Broadcomの実質的な値上げに代表されるベンダーロックインが招くコスト高やクラウドのコストなど)、4つ目はAIが生み出す桁違いの需要増(性能、拡張性)――である。

 このような課題に対し、HPEは「ネットワーキング」「ハイブリッドクラウド」「AI」――3つの戦略の柱で課題解決を支援する。

 まず、データに安全かつ効率的に接続するネットワーキング。次に、ワークロードを最適な場所で実行できる柔軟性をもたらすハイブリッドクラウド。最後は、データから価値を引き出し、成果へと繋がるまでのプロセスを加速させるAIである。特にAIに関しては、良質なデータと適切なインフラが不可欠であり、AI時代においてはIT基盤の適切な整備が極めて重要だとNeri氏は述べた。

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