日本はAIエージェントに抵抗感が少ないながらも漠然した不安で使わず--Okta調査

國谷武史 (編集部)

2025-06-25 17:52

 Okta Japanは6月25日、世界9カ国を対象に実施した消費者向けサービスのアイデンティティー(ID)に関する調査「Customer Identity Trends Report 2025」の結果を発表した。この中で日本人は、AIエージェントを使う対応に抵抗感が少ない一方で、漠然とした不安でAIエージェントを使わない傾向にあることが分かった。

Okta Japan 代表取締役社長の渡邉崇氏
Okta Japan 代表取締役社長の渡邉崇氏

 同社は、法人での業務に使うシステムやサービスのID管理と、2021年に買収した消費者向けサービスのID管理を手掛けるAuth0の2つを主力事業としている。同日の説明会に登壇した代表取締役社長の渡邉崇氏は、「(主に業務用途向けの)Oktaと(主に消費者ビジネス向けの)Auth0で異なるニーズに対応できるプラットフォームを提供しており、Auth0のソリューションでは、顧客体験(CX)の変革によるビジネスの成長、SaaSにおける開発生産性およびセキュリティの両立の2つが提供価値になる」と紹介した。

Okta Japan プリンシパルプロダクトマーケティングマネージャーの高橋卓也氏
Okta Japan プリンシパルプロダクトマーケティングマネージャーの高橋卓也氏

 今回のレポートはAuth0に関する内容で、詳しい結果をプリンシパルプロダクトマーケティングマネージャーの高橋卓也氏が解説した。調査は、ドイツのStatistaの協力で、2月に日本、米国、英国、ドイツ、フランス、オランダ、カナダ、インド、オーストラリアで各国750人ずつ合計6750人にオンラインアンケートを行った。

セキュリティの重要性を認識するも利便性を優先

 まず顧客体験(CX)とテクノロジーへの意識では、高橋氏が「顧客獲得には、セキュリティと信頼が最も重要な因子になる」と総括した。

 調査結果では、新規にアカウントを作成する際に重視するものとして、回答者の74%が信頼性、72%がセキュリティを挙げ、製品やサービスの品質よりもこれらを重視する傾向にあった。また、オンラインサービスなどで脅威となる、なりすまし詐欺について64%が懸念していると答え、気にしていないのは10%だったという。日本の回答者も62%が懸念を示した。

 さらに、回答者の62%は、サインアップやログイン時に多くの情報入力を迫られることが最大の不満だとした。これによって購入などをやめる回答者は23%(常にやめるのは6%、頻繁にやめるのは17%)に上る。この点について高橋氏は、「世界的にサードパーティーデータの利用を制限する動きから、企業はファーストパーティーデータとして消費者から多くの情報を得ようとしている。しかし、消費者にとって大きなストレスになっており、商品やサービスの成約率に大きく影響しかねない。特に(2000年代前後に生まれた)Z世代や(1980年代後半~1990年代後半生まれの)ミレニアル世代は、ほかの世代よりストレスが大きく、すぐ離脱する傾向にある」と解説する。

出典:Okta Japan
出典:Okta Japan

 認証方法では、最も便利なものとして73%がパスワードを挙げ、68%が複数のアカウントでパスワードの使い回しをしていると答えた。パスワードの使い回しは、第三者によるアカウントの不正利用につながりかねないリスクとして長年警鐘が鳴らされてきたが、調査結果でも「(使い分けでは)覚えにくい」との理由から、最も人気の認証方法に挙がった。

 ただ、最も安全だと思う認証方法では、指紋認証(71%)や顔認証(62%)など生体認証が多く、消費者にある程度認知されていることも分かった。Z世代やミレニアル世代はこれらの方式に対する抵抗感が低い傾向も見られたという。ここでは、「より安全な認証技術でも不便なのでパスワードを好む」という現状が明るみになった。

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