NTTデータ関西は6月25日、生活保護や児童相談など、自治体業務における訪問面談やヒアリングを支援する生成AI搭載の「職員支援AIアプリ」を2025年10月より提供開始すると発表した。職員が住民に行う訪問面談や聞き取りの際に、タブレット端末で会話をリアルタイムに記録し、生成AIが自動でメモの作成から報告書案の生成までを行う。
少子高齢化や生活困窮世帯の増加により、自治体が担う住民支援は多様化・複雑化している。特に、訪問や面談業務では、職員の負担が大きく、経験の差による対応のばらつきや、聞き漏れによる再訪問の発生、報告書作成にかかる時間などが共通の課題となっていた。
同アプリでは、会話の流れに応じて適切な質問を提案することにより、必要な情報を漏れなく正確に聞き取ることができる。これによって、職員の経験に左右されず、誰でも一定水準の聞き取りが行えるという。そのほか、再訪問の削減や報告書作成の効率化により面談業務の負担が大幅に軽減される。

職員支援AIアプリの特徴
同社は、2024年に岩手県一関市と実施した生活保護ケースワーカー面談業務に関する実証実験を通じて、機能改良・精度向上を図った。実証実験の結果、職員アンケートでは面談後の報告書作成時間が約60%削減するのに加え、80%が市民との面談が肯定的に変化したと評価されたという。一方、市民アンケートでは、82%が担当ケースワーカーとの話しやすさの印象がよくなったと回答した。
今後は、AIがヒアリング内容をより深く理解し、相談内容に応じた対応方針の提案や、過去データと照らし合わせた傾向分析ができる機能の追加を検討する。同社は、同アプリを全国の自治体に提供し、福祉、子育て、就労支援、高齢者見守りなど、庁内のさまざまな分野での面談業務の負担軽減と住民サービス向上に貢献する方針だ。