ITコンサルティング・調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は6月26日、国内のクラウド型DLP(Data Loss Prevention)市場規模推移および予測を発表した。クラウド型DLP市場の2024年度の売上金額は前年度比27.4%増の56億8000万円を予測している。
2023年度の売上金額は44億6000万円で前年度比31.6%増となった。企業において機密情報や重要データをクラウド環境に格納したり、クラウドサービスを通じて共有したりする機会が増加。それに伴って、利用中のクラウドサービスからの情報漏えいリスクも高まり、情報漏えい防止や情報保護を目的とした需要が拡大している。
クラウド型DLPは、膨大な重要データを保有し、セキュリティ対策に積極的な大企業を中心に導入が進んでいるが、中堅・中小企業での導入も増加傾向にある。ITRでは、同市場の2023〜2028年度における年平均成長率(CAGR)は13.6%、2028年度には84億2000万円に達すると予測している。

図.クラウド型DLP市場規模推移および予測(2022〜2028年度予測)
ITRのアナリスト中村悠氏は「ゼロトラスト環境におけるセキュリティ対策の必要性がさけばれて久しく、近年では、その有効な手段として、SASE(Secure Access Service Edge)ソリューションが普及しつつある」と述べている。SASE(Secure Access Service Edge)は、CASB(Cloud Access Security Broker)やSWG(Secure Web Gateway)など複数のコンポーネントから構成されており、クラウド型DLPもその一要素に位置付けられ、業種や従業員規模を問わず導入が拡大している状況だ。
同氏は「企業においては、利用するクラウドサービスごとに適切なセキュリティ設定と定期的な見直しが不可欠だが、加えて、クラウド型DLPを情報漏えい対策として採用することで、より高度なセキュリティレベルを実現できる。今後もクラウドサービスの利用拡大が見込まれることから、クラウド型DLP市場のさらなる成長が期待される」と説明している。