石巻赤十字病院(宮城県石巻市)は、これまでIT部門の管理下になかった院内の医療機器もIT部門で管理できる仕組みを富士フイルムビジネスイノベーションの「IT Expert Services IoMT デバイスマネジメントサービス」で構築し、機器の稼働やセキュリティ対策を管理できるようにした。富士フイルムビジネスイノベーションが発表した。
同社によると、石巻赤十字病院では、PCやサーバーのほか、超音波診断装置や心電図、内視鏡、画像端末など多くの医療機器をネットワークに接続しており、それらを人手で把握、管理するための多くの工数がかかるなどの課題を抱えていた。また、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に基づく医療機器のセキュリティ対策強化でも取り組みが不十分だったという。
これら課題の解決に向けて同病院は、富士フイルムビジネスイノベーションのサービスを採用。同サービスでは、ネットワークの通信を自動的に監視して、医療機器を含むIT機器のOSやファームウェアのバージョンなどの詳細情報や脆弱(ぜいじゃく)性、リスクを可視化できること、専門的なスキルがなくても直感的に操作できるインターフェースを備えて容易に運用できる点を評価したという。
導入後は、院内ネットワークに接続されている数千台の機器を自動で可視化し、これまでネットワークに接続されながらIT部門の管理下になかった機器も含めて一元的な運用管理体制を構築した。各機器のセキュリティリスクについて、OSやファームウェアのバージョン、既知の脆弱性情報、通信での挙動など複数の要素から数値化し、リスクの高い機器の特定が容易になったほか、必要に応じてベンダーと対策を協議できるようにもなったとしている。

出典:富士フイルムビジネスイノベーション
このほかにも機器の稼働状況を可視化したことで、例えば、検査が集中している機器や使用頻度の低い機器の現状を把握できるようになり、こうした情報を機器の更新や機器ごとで使用の偏りを見直す際の検討材料に活用している。
取り組みについて同病院の情報マネジメント課は、「院内のIT機器の情報が分かりやすく可視化されたことで、医療機器を扱う部門とも機器管理の連携が図れるようになった。把握したリスクへの対処を通じ、より安全に機器を管理していく意識づけが部門を超えてできたことは大きな収穫になる。今後も病院全体でセキュリティ意識をさらに高め、より安全・安心な医療環境の実現を目指していきたい」とのコメントを寄せた。