富士通は7月2日、グローバルサプライチェーンにおける予期せぬ外部環境の変化に迅速に対応するため、損益への影響を迅速に算出し、最適な意思決定を支援する新たなソリューションを提供開始する。
オールインワン型業務プラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS(DI PaaS)」の新機能として展開される。社内外の多様なデータを統合し、AIエージェントを活用することで、迅速な影響分析と意思決定を可能にする。
近年、地政学的リスクや自然災害、市場の変動などにより、企業を取り巻く環境の不確実性は一段と高まっている。特に、グローバルに複雑なサプライチェーンを構築している製造業では、これらの予期せぬ事象が事業活動に直接的な影響を及ぼすリスクが増しており、輸送ルートの変更や生産拠点の停止、コストの増加などが企業の収益を圧迫し、競争力を低下させる要因となっている。
一方、従来のサプライチェーン管理では、こうしたリスクに迅速に対応することが困難であり、事業継続計画(BCP)の見直しやサプライチェーンのレジリエンス強化が急務となっている。
今回のソリューションは、企業内外に分散するデータを統合し、市場変動などの影響が大きい対象製品を特定するとともに、損益インパクトを迅速に算出する。また、「Fujitsu Uvance」のオファリングであるDI PaaSが持つデータ統合能力により、従来は数週間を要していた影響分析を数日で実施可能となっている。さらに、AIエージェントによる対策提案を通じて、画面上でシミュレーションに基づいた最適な意思決定を可能にする。
具体的には、次の3つのステップを通じて、サプライチェーンのレジリエンス向上を支援する。
- 利益・原価構造の把握:グローバルサプライチェーンにおいて、市場変動などにより影響を受けているサプライヤーや工場を可視化し、どの製品がどのルートでどれだけの輸入コストが発生しているのかを提示。これにより、企業は自社の利益や原価構造を詳細に把握し、潜在的なリスクを特定できる
- 戦略プライシングシミュレーター:市場変動などにより原価構造に変化があった場合に、製品の価格変化が需要に与える影響を分析する価格弾力性モデルにより、それぞれの製品の適切な販売価格をシミュレーションする。これにより、市場の変化に合わせた最適な価格戦略を策定し、企業の収益を最大化する
- オペレーション変更シミュレーター:輸入コストが高騰している調達先を変更する際の原価構造や利益の変化を分析し、サプライチェーンの最適化を支援する。代替サプライヤーの選定や輸送ルートの変更といったオペレーションの変更による影響を、各領域の専門AIエージェントがさまざまな観点から評価し、オーケストレーターエージェントが総合的に判断する。これにより、企業の迅速な影響分析と最適な意思決定を支援する