「一部の仕事は減るが、より魅力的になる」--アマゾンのジャシーCEO、AIによる雇用変化に言及

Webb Wright (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2025-07-03 07:30

 Amazonの社長 兼 最高経営責任者(CEO)であるAndy Jassy氏は先ごろ、CNBCのJim Cramer氏とのインタビューで、AIシステムのビジネス分野への広範な導入により、一部の業務が自動化され、必要とされる人員が減少する可能性があると述べた。

 Jassy氏は、雇用市場における自動化の将来的な影響について控えめながらも前向きな見解を示した。AIによって一部の人々が職を失う可能性があることを認めつつも、この技術は「仕事をより魅力的なもの」にし、新たな職種を生み出す力があると述べている。

 同氏はCramer氏との対談で、「AI分野ではより多くの人材を採用することになるし、ロボット工学の分野でも同様だ。将来的には、他の職種でも新たな雇用が生まれるだろう」と語った。

 AIによる雇用喪失への懸念が高まる中で、主要なテクノロジー企業の経営者たちは、こうした不安を和らげるような発言を繰り返すのが一般的になっている。

 例えば、OpenAIのSam Altman氏は6月に公開したブログ投稿で、AIが将来的に「全ての仕事のカテゴリー」を消滅させる可能性があると認めつつも、それによって生まれる膨大な富が社会にとって価値あるものになると述べている。一方、Google DeepMind CEOのDemis Hassabis氏は、ポッドキャスト「Hard Fork」で、2026年のエンジニア採用数を2025年より減らす計画はないと語っている。

 他の大手テクノロジー企業と同様に、AmazonもAI分野への積極的な投資を進めている。2月には、AIを搭載した新しい音声アシスタント「Alexa+」を発表。6月には、広告主が製品の静止画像から簡単に動画広告を作成できる「Video Generator」プラットフォームを一般公開した。そして先週、同社はフルフィルメントセンターにおける多数のロボットの動作を効率化するための新たな基盤モデル「DeepFleet」の導入を発表した。

 AmazonがAIへの取り組みを加速させる中で、その影響は人材面にも及んでいる。Jassy氏は6月、CNBCでの発言に先立ち、社内メモを通じて従業員に対し、AIによって一部の業務が不要になる一方で、特定の分野では人間の労働力への需要が新たに生まれるだろうと伝えていた。

 Jassy氏はその社内メモで、「これが最終的にどうなるかを正確に予測するのは難しいが、今後数年間でAIの広範な活用によって業務の効率が向上し、その結果としてAmazon全体の従業員数が減少する可能性がある」と述べている。

 CNBCが5月に報じたところによれば、Jassy氏が支出削減を模索する中で、Amazonは2022年初頭以降、約2万7000人の従業員を削減している。また、MicrosoftもAI関連の投資を拡大する一方で、6月時点で全世界に約22万4000人いる従業員のうち約4%をレイオフすると報じられている。

 Jassy氏は、CNBCでのインタビューと社内メモの両方において、AIエージェントを特に有望で強力なAIの応用例として明確に取り上げている。

 より限定的なチャットボットとは異なり、AIエージェントは自律的に行動し、計画を立て、他のエージェントと協力しながら、目標達成のためにウェブ検索などのデジタルツールを活用できる。

 主要なテクノロジー企業は、ここ数カ月でAIエージェントの開発と導入に強い関心を示しており、この動きは、AI研究開発への巨額な投資に対して、投資家に具体的な成果を示す必要性に後押しされている側面もある。こうした取り組みは一定の成果を上げているようで、Ernst&Youngが実施した最新の調査によると、回答したテクノロジーリーダー500人のうち約半数が、AIエージェントを組織全体に積極的に統合していると答えている。

 また、同じ調査によれば、テクノロジーリーダーの84%が今後6カ月以内に従業員の増員を計画していることが明らかになった。

提供:Bloomberg/Getty Images
提供:Bloomberg/Getty Images

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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