セールスフォース・ジャパンは、アビームコンサルティングがセールスフォースの「Agentforce」「Data Cloud「MuleSoft」を利用して、戦略アカウントに対する営業機会を従来比120%、売上成長率で同115%を達成したと発表した。
アビームは、中期経営計画でアカウント管理計画などにおける社内での顧客へのアプローチおよび顧客管理プロセスの高度化を推進し、AI活用による顧客への情報提供迅速化、顧客接点拡大で新規提案機会の創出を進める。課題は、顧客に対応する成績優秀者の高度な顧客深耕スキルの組織全体への展開で、個々の経験や鋭敏なビジネス感覚に依存したアプローチは再現性が低く、組織的な展開の障壁となっていたとのこと。成績優秀者の行動特性を再現可能な形でモデル化し、全社活用できる仕組み作りを求めていた。
セールスフォースは、アビームが戦略的意思決定や業務高度化にAgentforceとData Cloud、システムやデータのリアルタイム接続にMuleSoftを導入したと説明。同社が実装の中で、特に単なる業務効率化だけではなく成績優秀者の思考と行動をモデル化してAIに移植し、業務を高度化した点が特徴だという。
具体的には、成績優秀者の情報収集の視点、分析アプローチ、ネクストアクションの判断基準を「トピック」と「アクション」の構造で体系化してAgentforceに実装。顧客や担当顧客に対する介入状況を事業部門横断で把握可能とした。報告業務やアカウントプランの自動更新、予算・実績管理の集計・可視化などの社内手続きをAIエージェントが行い、業務を効率化した。
Agentforceは、情報管理以外にもニュース情報などから顧客への提案機会の創出を支援しているという。例えば「脱炭素」関連ニュースを基にAgentforceが関連業界事例や有識者情報をすぐコンサルタントに提示。また、顧客企業の役員人事発表時には、AIエージェントが自動的に異動先に応じた洞察を提示し、「経営アジェンダの設定と対応の方向性の仮説構築」「役員面談の設定」など最適な行動を担当者に提案している。これにより全コンサルタントが成績優秀者と同様の戦略性と機動力で顧客への提案活動を実行可能な体制を整備した。
こうした結果、アビームでは戦略アカウントに対する営業機会が従来比120%、売上成長率が同115%になった。今後は、顧客に関する新着ニュースや対話内容を起点とする洞察の提供、経営計画のレポート作成・分析などを通じさらなる提案機会の拡大を目指す。さらに人事異動情報を起点とする洞察の抽出や、名刺交換からの提案、顧客満足度調査の結果に基づくアラート発出など、重要人物との関係強化に向けた用途での実装も検討しているという。
これらの取り組みについてアビーム 代表取締役社長の山田貴博氏は、「Salesforce導入決断の背景にデジタル変革(DX)を通じて顧客への価値提供を最大化するため、フロント領域におけるデファクトスタンダードなツールを当社自身が積極的に活用し、企業変革を実現していくことが重要であると考えたことがある。当社は顧客へのData CloudやAgentforceの導入を推進しており、自社実践がより具体性と説得力のある提案や変革実現力につながると考えている。今回の導入はこうした提案力の強化にも貢献する重要な一歩になった」とコメントしている。