東京電力ホールディングスは、Denodo Technologiesが提供するデータ仮想化ソリューション「Denodo Platform」を導入した。これにより、法令およびセキュリティ要件を順守しながら、最短3営業日でデータ収集が可能な環境を構築。データを基盤とした業務改革を推進している。2024年10月から本格稼働している。
ホールディングス制を採用する東京電力では、各事業会社が業務ごとに独自のシステムを保有し、データを活用している。一方で、部門や会社の枠を越えてデータを利活用したいというニーズが高まっており、セキュリティを確保しつつ、簡便に横断的なデータ利用を可能とする環境の整備が急務となっていた。
これまで、必要な手続きを踏めばデータ取得は可能だったものの、申請から取得までに2カ月以上を要するケースもあり、迅速なデータ活用が困難な状況が続いていた。さらに、データ連携を実現するには、法令やセキュリティ要件に準拠した構成を個別に構築する必要があり、その都度システム改修が求められる。また、各システム間でデータの粒度や構造が異なるため、変換処理も不可欠であり、多くの課題を克服する必要があった。
東京電力は、Denodo Platformの導入により、データ取得にかかる工数を最大で8割削減した。現在では最短3営業日、平均5営業日でデータの取得が可能となっている。担当者は「必要な時に必要なデータを迅速に取得・加工・分析できる環境が整った」と語る。
これまで課題となっていた個別システムの改修や複雑な手続きが不要となったことで、現場でのデータ連携にかかる負担が大幅に軽減。収集元システムの保守対応においても、生産性の向上が見られている。
現在、同社では8つのシステムとDenodo Platformを連携させており、「非常に面白い仕組み」として高く評価する声も多いという。今後はさらに接続対象を拡大していく方針だ。
また、SQLの知識がなくてもGUI操作で直感的に扱える点が、業務部門の利用者にとって大きな魅力となっているとした。
東京電力では現在、Denodo Platformのさらなる活用に向けて、基幹業務への展開や生成AIによるSQL作成など、サービスレベルの向上を目指した施策を進行中である。社内ではDXへの機運も高まっており、Denodo Platformをきっかけに全社でのデータ活用の拡大が期待されている。