デジカメ市場のシェア競争

ビジスパ事務局 2011-06-10 18:00:00

 デジタルカメラは、ビデオカメラと並び今や日本が世界に誇ることのできる数少ない製品のひとつだ。世界市場でもシェア1位がキヤノン、2位がソニー、3位ニコンと続く。薄型テレビなどは、シェア1位がサムスン電子、2位がソニー、3位がLG電子、4位がパナソニックと韓国企業に大きくシェアを奪われつつ競争を繰り広げている。

しかし、デジタルカメラ市場の詳細を見ていくと、優勝劣敗が明らかになり、主要8社の販売見通しの明暗がはっきりしてきている。デジタルカメラ市場は、2強、3新興、3弱といった構成だ。

2強:キヤノン、ニコン
3新興:パナソニック、ソニー、富士フイルム
3弱:オリンパス、カシオ計算機、HOYA

世界シェア首位のキヤノンは2010年に前年比11%増の2670万台を計画している。ただ、上方修正分はすべてデジタル一眼レフだ。EOSシリーズの売上が好調で、一眼レフがキヤノンの成長を下支えしている。

パナソニックやソニーは、ミラーレス一眼で成長している。従来のコンパクトデジカメ層をミラーレス一眼が、どんどん吸収しているからだ。コンパクトなのだが、一眼レフに近い画質なので、従来のコンパクトデジカメ層の中で画質にこだわる層(子供の記念写真を美しく撮りたいパパママ層など)は、こちらに移行している。

下方修正した3弱3社のうち、下振れが一番大きいのはオリンパスだ。コンパクトデジカメの販売が不振で従来計画を100万台下回る。

原因は2つある。

1、完全に電子化されたコンパクトカメラは、新規参入が容易で、サムスン電子など韓国メーカーや中国メーカーに猛烈な追い上げをくらっていること。その結果、価格競争になり、国内メーカーのコスト競争力では勝ち目がない。

2、スマートフォンや携帯電話に内蔵されたカメラ機能が十分に高画質化し、コンパクトデジカメに優位性がないこと。その結果、ユーザーは、スマートフォンのカメラ機能があれば十分ということになる。

コンパクトデジカメセグメントは、スマートフォンや携帯電話のカメラ機能といった代替品に市場を奪われ、市場自体が縮小している。その縮小する市場の中で、新規参入が激しく、競争が大変厳しい。

5Fs分析でいう、「代替品の脅威」と「新規参入の脅威」にさらされている。だから、旨みの見えにくい=儲けにくい市場になってしまっている。

このような状況から脱却するには、大きく2つの方法がある。

1、コンパクトデジカメセグメントで覇権を獲る。
2、コンパクトデジカメセグメントは無くなるとあきらめ、代替品(スマートフォンや携帯電話)のデバイスメーカーに徹する。

1の選択肢は難しい。というのもコスト競争力で、韓国企業や中国企業にはかなわないからだ。だから、今は各社世界市場シェア上位にいるのだが、これを継続できるとは安易に考えない方がよい。

2のデバイスメーカーとして、世界各国のスマートフォンに対し部品としてのカメラ機能を提供するのであれば、まだ芽はありそうだ。

いずれにしても縮小または消滅が明らかになっているセグメントにずっと居続けると「茹でガエル」になってしまう。コンパクトデジカメの将来は、なかなか厳しい。

牧田 幸裕
信州大学経営大学院准教授。京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。2006年信州大学大学院経済・社会政策科学研究科助教授。07年より現職。著書に 『ラーメン二郎にまなぶ経営学』(東洋経済新報社)、『フレームワークを使いこなすための50問』(東洋経済新報社)、雑誌連載など多数。

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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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