営業職のもつ役割が誤解されている

ビジスパ事務局 2011-06-24 09:30:00

 社会人や学生の方々に講演する機会があると必ず話をしますが、私は営業職になりたくてなった訳ではありません。むしろ「やりたくない」仕事でした。現在もリクルート社が発行する旅行情報誌「じゃらん」の海外版の編集部門に配属を希望していました。

「きつい」「汚い」「危険」=営業は3Kな職業

くらいに嫌悪感をもっていました。なので、配属が営業部門だったときはショックでした。ただ、周囲で同期入社した同僚も本音では「営業なんて嫌」と大半が考えていたのではないでしょうか?当時も営業職は不人気な職業でした。

さて、時代は当時から25年を経過しています。相変わらず?営業は不人気な職業のようです。ただ、3K的な評価でなく「簡単」「気軽」さらに「考えない」と別の3Kに印象は変わって不人気のまま…のようです。

ここ数年20代30代の営業パーソンと話す機会が増えていますが、ときどき愕然とすることがあります。若い営業パーソンたちは、どうも営業は優秀な人がやる仕事ではないと軽視しているようなのです。「営業の仕事をどう思っている?」と尋ねると、だいたい次の2つの答えが返ってきます。

(1)会社にとってなければいけない仕事だが、優秀な人がやる仕事ではない。
(2)一時的にやる必要はあるが、将来的に管理職になるための通過点である。

新卒の就職活動をしている大学生に尋ねても、営業が第一志望であることはまずありません。彼らが志望するのは、財務や経理、人事、総務、広報など、本社のバックオフィス系。あるいは、マーケティングや商品企画など営業部門の後方支援的な仕事。いずれも知的なイメージで専門性が高いことが人気の要因なのでしょう。

それに比べて、営業は知的でないというイメージを持っているようです。高度な知識は必要ない。専門性が低い。長く続けたところでツブシの利くスキルは身につかない。自分が成長できない。だから、多くの営業マンは、今は仕方なく営業の仕事をやっているけれども「いずれは希望の職種に就きたい」と心の底で思っていることが分かってきました。

25年前の旧3Kの営業職で頑張り、成果を出した後には、報酬(「金銭」と「待遇」)が待っていました。さらにかけがえのない人脈や仕事のやり方を成功体験から得たのです。

「営業の仕事から得るものは少ない」 と発言する20代30代の営業パーソンの誤解をどうしても解きたいと痛感します。いえ、解かねばならないという使命感に駆られます。なぜなら、現在の営業職ほど、知的で頭を使うものはなく、ビジネスパーソンに必須の知識やスキルを万遍なく身につけられる仕事はほかにないからです。

営業で成果を出すためには商品知識より「課題分析」「状況把握」が必要な時代になりました。商品スペックさえわかれば問題ないのであれば営業パーソンは不要。ネット上で情報収集は十分できます。 情報収集してお客様にマッチした「気づき」「付加価値」を提供することを、営業パーソンは期待される時代になったのです。お客様の理解度を誰よりも高めて、「あなたに任せたい」と思わせる力量を磨かなくてはなりません。

例えば、企画力、プレゼンテーション力、数字力、マーケティング力、分析力、戦略立案力、マネジメント力など…身に付けておきたい能力=スキルは山のようにあります。こうしたスキルは営業職固有のものではありません。ビジネスパーソンが共通して求められるポータブルスキルでもあります。営業という仕事は、これらの勉強を現場で実践しながらできて、かつ、実験を繰り返し、検証できるという画期的な仕事なのです。

毎日、営業の仕事を通じて考え抜く訓練を続けていれば、だんだん成果を継続的に出すことができるようになります。その結果、現場のことがよく分かる専門家として、周囲の人に高く評価され、キャリアが自然と広がることは間違いありません。営業ができて現場でマーケティングも実践している…となれば、「営業兼マーケティング担当」「営業兼商品開発担当」「営業兼マネージャー」といったように、一人二役任されるようになるかもしれません。取材した食品メーカーの若手営業職であるDさん(27歳)は、ビジネススクールに通い学んだマーケティング手法を提案書に活かして大きな受注が続き…本社の商品企画部門との兼務になったそうです。あるいは財務や経理部門など希望の部署に異動して、マネジメント職になれたり、社長になることだって夢ではなくなるのです。

ですから営業職=単純と誤解せず、幅広い領域の勉強を怠らない「考える営業」をやり続けてほしいと思います。「考える営業」を続ければ、あなたが将来、なりたいと考えているキャリアへの道が必ず拓かれます。

高城 幸司
1987年同志社大学文学部卒、同年、株式会社リクルート入社。社内の売り上げ記録を数々打ち立て、6年連続トップセールスに輝く「伝説の営業マン」新規事業を数多く立ち上げ、営業現場で活躍。起業・独立情報誌『アントレ』を創刊。編集長も務める。2005年にリクルート社を卒業。現在は人と組織のサポートを年間100社以上実践している。著書は50冊以上。ビジスパではメルマガ「トップ営業の「稼ぐ」発想法」を執筆中。

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