ビジネスアプリケーションに求められるクラウド・プラットフォームを検証する

後藤 康成 2009-12-13 11:06:40

僕らフィードパスが SaaS 市場への参入を検討し出したのは2006年の後半であり、米国 Zimbra を日本向けにローカライズし独自の機能を付加した、企業向けの Web メール「feedpath Zebra」(現在は「feedpath Mail」)を SaaS 市場に投入したのは2007年2月である。2009年を終えようとしている現在では SaaS と言うキーワードはある程度認知された。

今やメディアではアプリケーションはインターネットという雲の中からサービスとして提供されることから、この SaaS も「クラウド」と表現されており、フィードパスでは SaaS 提供しているサービスを「feedpath Mail」や「feedpath Calendar」などをクラウド・アプリケーションと呼んでいる。

2007年の SaaS 市場参入からまもなく3年になろうとしているが、企業向けのアプリケーションは未だパッケージソフトウェアがマジョリティーを占めているのが現状である。しかし今年に入って従業員100名を超え独立した情報システム部門を持つ企業も、ビジネスアプリケーションを自社運用から SaaS へのシフトを本格的に検討し始めている。その情報システム部門から最初に受ける質問は、
 ・サービスレベルは何パーセントですか?
 ・1サーバーで収容できるユーザー数は何ユーザーですか?
 ・サーバーがダウンした際の復旧までの代替え手段はありますか?
というようにサービスの安定運用に関する質問である。(ちなみに2番目はセキュリティーに関する質問である)

企業向けのメールサービスやグループウェアでは、ビジネスアワーでの1時間の停止は業務に大きな影響を与える事から、その提供価格には必ずしも比例しない高いサービスレベルが要求される。このサービスレベルがクラウドへの意向するための最優先条件となっている。サービスレベルはパーセンテージで表され、トリプルナイン(99.9%)といった数値で表される。ちなみにサービスレベル 99.9 % は年間約9時間の停止時間である。99.9 % でも2ヶ月に約1時間30分は停止することになる。

コンピューターシステムのサービスレベルは、アプリケーションだけに注目されがちであるが、高いサービスレベルを実現するためにはハードウェアの信頼性とネットワークの信頼性の確保が重要となる。サーバーで最も故障しやすいハードディスクの冗長化やスイッチやルータなのどネットワーク機器の冗長化が必要となり、ネットワーク機器やサーバー機器の設備投資額が倍以上に膨らみシステム投資が増大する。これはパッケージアプリケーションの企業内運用、クラウドから提供されるアプリケーションいずれも同様である。

このように、クラウド・プラットフォームに求められる最低限の条件は、高いサービスレベルであることは言うまでもない。さらに Amazon AWS が提供しているような CPU コア、物理メモリ、ストレージなど Elastic(エラスティック:伸張自在な)にアサインされスケールできるハードウェアリソースの仕組みと、提供価格も利用しただけの柔軟な価格設定と僕は考えている。特に企業向けクラウド・アプリケーション市場は低価格化が進むと考えており、より高い信頼性のサービスを低価格で提供するためには、高可用性で低価格のパブリック・クラウド・プラットフォーム(IaaS)が求められるのである。

僕のブログエントリー「2009年はクラウド元年、雨後の筍の如く現れた IaaS プロバイダー」の通り、日本においてもこの秋からクラウドプラットフォーム(IaaS)を提供するプロバイダーがサービス展開を始めている。

2010年前半にかけて日本のクラウド・プラットフォーム市場はよりホットになることは間違いない。今後高いサービスレベルでリーズナブルな Elastic サービスを提供するクラウド・プラットフォームが中心となることで、ビジネスアプリケーションの提供価格も競争力を増していくと期待している。

後藤康成(ごとう やすなり)
フィードパス株式会社 CTO 兼 feedpath Calendar 事業統括
シリコンバレー・ベンチャーを経て2000年ネットエイジ入社。ネットビジネスのインキュベーション案件およびテクノロジー投資案件などを担当。技術開発担当取締役、ngi group 執行役CTOを歴任しビジネス&テクノロジーと幅広い経験を持つ。2005年クラウドからビジネスアプリケーションを提供するフィードパスを設立する。ブログエンジン、Zimbraの日本市場展開。現在ビジネススケジューラーのfeedpath Calendar事業統括を担当。 著書として「Web2.0 BOOK」など。自身のブログはBlogot Twitterアカウントは feedpath

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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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