2010年クラウドとスマートフォンがビジネスシーンに普及するためのハードル

後藤 康成 2010-01-02 11:00:39

 毎年のことではあるが、日本経済新聞元旦号の第二部は IT トレンドの記事が掲載される。昨年は SaaS が中心に掲載されたと記憶しているが、今年は僕が年末の CNET パネルディスカッションで指摘したキーワードでもある「スマートフォン」、「クラウド」そして「ゲーム」といったキーワードで記事が掲載されていた。この中で「ゲーム」は日本が世界に誇れるテクノロジーやコンテンツであるが、「スマートフォン」、「クラウド」共に米国が中心となり普及し始めている市場である。2010年「スマートフォン」および「クラウド」2つのトレンドが今年ビジネスシーンに普及するためにクリアするべきハードルを考察する。

マルチプラットフォームでの開発ツール - スマートフォン -

昨年はソフトバンクから iPhone 3G、NTTドコモから Google の Android 端末が発売されスマートフォンへの関心がより高まった年であったが、今年はいよいよそのスマートフォンのビジネス利用が拡大すると考えられている。

ビジネス利用をより促進するためには当然ながらビジネス向けのアプリケーションソフトウェアが必要となる。スマートフォンで利用するアプリケーションにおいてこの開発が大きなネックになるのではと考えている。iPhone と Android それら同じ機能のアプリケーションを開発しようとすると、iPhone は Objective-C、Android は Java といった異なるプログラム言語での開発が必要となる。もちろん市場競争の原理が働きマーケットニーズの無いスマートフォンは淘汰されていくべきなのかもしれないが、現時点でスマートフォン全体の市場を底上げするためには、iPhone / Android のいずれでも動作するアプリケーションの開発が必要となる。よって、この問題を解決する iPhone / Android マルチターゲットのコンパイラなどの開発ツールの登場が望まれる。

柔軟なメータリングシステム - クラウド -

もうひとつのキーワードは「クラウド・コンピューティング」である。日本経済新聞によるとクラウド・コンピューティングを以下のように定義している「ソフトウェアや情報システムなどのIT資産をインターネット経由で提供・活用するサービス。企業はIT資産を保有せずに住み、総コストの削減につながる。」

企業やサービスプロバイダーにとって魅力的な「総コストの削減」というマジックワードの「クラウド・コンピューティング」を分解すると。サービスの提供者向けのプラットフォーム(Iaas, PaaS)とサービスの利用者向けのアプリケーション(SaaS)の2つの概念が包含される。SaaS については2007年から注目を浴びており、今年注目されるのはクラウド・プラットフォーム(IaaS: Infrastructure as a Service イアース)である。

クラウド・プラットフォームの条件は、CPU コア、物理メモリ、ストレージ、ネットワーク帯域など Elastic(伸張自在な)にアサインできるハードウェアリソース。そしてダイナミックなアクセスに対応するオートスケール機能と僕は考えている。これに加えて、提供価格も利用しただけの柔軟な価格設定がクラウド・コンピューティング・プラットフォームに求められる。

米国においては Amazon AWS や RackSpace など、このニーズをカバーしたクラウド・プラットフォーム・ベンダーが急成長しているが、日本においては昨年10月以降からベンチャー企業を含めいくつかのクラウド・プラットフォーム・ベンダー市場参入を始めたばかりである。ベースとなる仮想化のテクノロジーはある程度確立されている。今後必要となるのは、クラウド・プラットフォームを顧客にディストリビューションする仕組みである。つまり利用したリソースをリアルタイムに計算するメータリングシステム(課金システム)の開発がハードルとなるであろう。

後藤康成(ごとう やすなり)
フィードパス株式会社 CTO 兼 feedpath Calendar 事業統括
シリコンバレー・ベンチャーを経て2000年ネットエイジ入社。ネットビジネスのインキュベーション案件およびテクノロジー投資案件などを担当。技術開発担当取締役、ngi group 執行役CTOを歴任しビジネス&テクノロジーと幅広い経験を持つ。2005年クラウドからビジネスアプリケーションを提供するフィードパスを設立する。ブログエンジン、Zimbraの日本市場展開。現在ビジネススケジューラーのfeedpath Calendar事業統括を担当。 著書として「Web2.0 BOOK」など。自身のブログはBlogot Twitterアカウントは feedpath

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※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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