銀行のIT投資拡大は良い話?

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2005-07-06 01:21:35

7月4日の日経新聞1面は、大手銀行がIT投資計画を大幅に拡大していることを伝えた。「大手銀 情報化投資 4割増」という見出しである。ただし、記事にもある通り、日銀短観が伝える銀行セクターの2005年度IT投資増加率の予測は17.8%である。従って、4割増というのは日本経済新聞が調査した紙面上に掲載されている6行(グループ)の数値と思われる。とはいえ、今回の記事で興味深いのは、主要大手行の実投資予測が実額で報じられている点であろう。

報じられた金額が正しいという前提に立てば、UFJ銀行と東京三菱銀行の統合後における3大メガバンクの2005年度IT投資額合計は3,100億円となり、銀行セクターの総投資額4,439億円の約70%を占めることとなる。日銀短観によれば証券や保険も含む金融セクター全体のIT投資額が7,737億円であるから、3行で金融セクターにおけるIT投資額全体の40%をも占めることとなる。

金融業界のIT投資額は製造業と匹敵する大きさであり、その拡大はIT業界にとっては朗報である。一方、大手行へのIT投資額の片寄りは、金融向けITサービス業という観点から見ると顧客である金融機関へのパワーバランスのシフトであり、ITサービス業自体へは再編を促す契機となり得る。パワーバランスを保とうとすれば、ITサービス企業も対抗して規模を追及するか、あるいは、より専門特化するなどの対応を迫られる可能性が高い。

ちなみに、日銀短観のデータによると、金融機関も含めた全産業セクターの2005年度IT投資計画は3兆9,114億円で前年比4.7%の伸びが見込まれている。金融セクター全体では13%の伸びが見込まれているので、金融向けのITサービス業は一見潤うようにも見えるが、パワーバランスのシフトが更に進行している点は要注意である。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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