切磋琢磨するチンディア

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2005-07-12 02:15:30

チンディア(Chindia)という言葉がある。ChinaとIndiaの合成語で、アウトソーシング・ビジネスの発展とともに躍進する両国を総称したものである。LenovoによるIBMのPC事業買収に代表されるように、中国はハードウェア・ビジネスに強い。一方で、開発やBPOといったソフトウェア/サービス・ビジネスに強いのがインドである。この両国が一緒になると、ハードとソフトの両方を面倒みる巨大なアウトソーシング・センターとなるわけである。

しかし、そうした従前のイメージとは異なるニュースが目に付くようになってきている。一つは、インドがハードに関心を示しているという話。もう一つは中国がソフトに関心を示しているという話。

インドがハード

Internetnews.comの"India to Flex Manufacturing Muscle"と題する記事は以下のように伝えている。

In-Stat expects the South Asian country's industry output to grow from $11.5 billion last year to $40 billion in 2010. That's still well below China, which pumped out $272 billion worth of electronics goods in 2004.

中国に比べればまだまだということだが、電気製品のマニュファクチャリングに関しては大きな成長が見込まれている。これまではソフトウェアやサービスが中心であったが、新しい可能性にも目を向けつつあるということである。

中国がソフト

一方、Yahoo! newsに掲載されているReutersの記事"India's TCS forms JV with Microsoft, Chinese firms"によれば、インドのソフトウェア企業トップのTata Consultancy Services LTD(TCS)が、Microsoft及び中国の現地企業と共に、グローバルなサービスを提供するソフトウェア会社を中国に設立するという。

中国のソフトウェア産業はインドの$17.2billionの1/5以下ということだが、記事は中国の温家宝首相の言葉として以下のように伝えている。

Chinese Premier Wen Jiabao, when he visited India's technology capital in April, had said the two countries could team up to become world leaders in information technology.

まさに中国とインドがIT分野で協調することで世界をリードしていこうという意図を語っている。

その意味するところ

今回、インドの製造業強化は、インドが独自に新しい分野に挑戦するといった響きである。一方、中国のソフトウェア強化の話は、インド企業の思惑も強く絡んだものである。つまり、エンジニアの賃金が高騰するインドから、中国や東欧へとTCSなどがITサービスビジネスを拡散している様を象徴していると取れる。

このようにインドと中国が、ある面では競合し、別の面では補完し合いながら切磋琢磨する中、北米においてはITスキルの空洞化が課題として最近良く取り上げられる。一方、オフショアリングでは周回遅れにある日本では、オフショアリングによるコスト削減は限定的であるゆえに、空洞化議論にまでは至っていない。むしろ2007年問題という日本固有の空洞化議論の方が活発である。

ITのバリュー・チェーンがインドから中国へと伸びていく中、日本がオフショアリングに対してどのようなスタンスを取るべきなのか、欧米での現状と日本の独自性を考慮して考える必要があるだろう。製造業を見るにつけ、ものを作るに際しての考え方というのは、多分にして文化的な要素も多く、必ずしも同じ方法論が通用するとも思われないのである。これについては、また別の機会に考察してみたい。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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