逃げろ逃げろ

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2005-08-07 23:38:30

2日、Oracleがインドのバンキング・ソリューション・ベンダーであるi-flex Solutionの株式の過半を取得することが公表された。その3日後に、Apache Foundationより、オープンソース・データベースの"Derby"がリリースされたというニュースが入ってきた。直接関係あるニュースではないが、データベースベンダーが、業務系システムへと走る一方で、データベース領域のオープンソース化が進んでいることの象徴する意味を考えてみたい。

業務アプリへと舵を切るOracle

i-flex solutionsはFLEXCUBEと呼ばれるバンキング・システムを提供しており、同社によればシティバンクを始めとして200以上の金融機関での採用実績がある。Oracleは、PeopleSoftの買収に見られたように、ビジネス・アプリケーション領域への投資を積極化している。今回はバンキングという、更にエリアの絞られた領域への投資であるが、方向性としては違和感はない。しかし、データベースの覇者であるOracleが何故業務アプリケーションの領域へ進出する必要があるのだろうか。

オペレーティング・システム(OS)の領域でLinuxがシェアを伸ばしているように、データベースの領域も今後コモディティ化が進展し、オープンソースのシェアが高まっていく可能性がある、というのが一つの理由だろう。OSの領域では、IBMがLinuxの積極支援策に出る一方、SUNはSolarisをオープンソース化するなど、オープンソースの流れは各社の戦略に大きな影響を与えている。

データベースのオープンソース化

データベースの領域も、MySQLPostgreSQLの普及が進みつつあり、データベース・ベンダーもOSベンダーと同じく大きな戦略転換を迫られる可能性が高い。そもそも今回更改された"Derby"は、もともとIBMがApache Foundationへ寄贈したものである。"Derby"自体は組み込み系に適したデータベースであるということで、直接Oracleと競合するものでは無さそうであるが、データベースのオープンソース化という点では軌を一にするものである。

オープンソースのもたらすブレークスルー

それにしても、以前にも取り上げたように、オープンソース化の流れはシステム基盤に近い領域から、業務アプリケーションの領域へと急速な勢いで駆け上がって来る。一方、ソフトウェア・ベンダーは、うまいこと骨抜きにしながらも上へ上へと逃げてゆく。そして最後はどこへ行き着くのだろうか? オープンソース化もある程度まで進むと、均衡状態が訪れて、オープンソースはここまでで、ここから先は有償ソフトの領域、といったことになるのだろうか?

オープンソース化の流れは劇的に競争環境を変え、その中でのソフトウェア企業の舵取りは容易ではない。それだけに、オープンソースの流れには強い興味を引かれるのだが、何か物足りない感じがする。それは、オープンソースのもたらすものがテクノロジーのブレークスルーというよりも、ビジネスモデルの変化であり、それ自体が新しいビジョンを提示しないからではなかろうか。オープンソースが既存のソフトウェア領域を侵食していくだけでは面白くない。オープンソースであるが故に可能な領域の開拓が出来たら良いなと思う。

それとも、自分も単にその流れから逃れたいだけ?

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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