もはやアウトソーシング先ではないインド

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2005-09-06 00:57:49

私の隣に座る同僚が、「ネタ発見」とオランダ銀行のアウトソーシング・ディールの話を教えてくれた。金額でいくと、IBMが最も大きいポーションを持っていったようだが、社数でいくと、5社中3社がインド企業である。これまでも存在感を拡大し続けるインドのIT企業であるが、いよいよ日本のITベンダーの直接の競合となる日も近いと感じさせるニュースが最近特に多い。

変化するインド系ITベンダーの事業領域

先のオランダ銀行のディール、総額22億ドルのうち最大シェアを獲得したのはIBMで、18億ドル相当であるという。一方、インド系ベンダーの一角Tata Consultancyは、2億4700万ドルということだが、同社はこのディールで最大契約金額を更新したという。とはいえ、金額規模を別とすれば、インド系ベンダーへのアウトソーシング・ディールは過去数年に渡って繰り返されてきたもので、それ自体は新しい話ではない。

むしろ気になるのは、こうしたインド系ベンダーがコーディング中心のビジネスから、これまでに蓄積した業務ノウハウをベースとした高付加価値ビジネスへとシフトしている点である。インドはこれまでコーディングのアウトソース先という位置づけではあったが、そこへアウトソースする企業には、シティバンクなど欧米の一流金融機関が名を連ねた。そこで得られたノウハウの展開は空洞化した欧米のIT業界にとっては脅威であるに違いない。

プログラミングからビジネス・アプリケーションへ

先月、Oracleが買収したバンキング・ソリューション・ベンダーがインドのi-flexであったのは記憶に新しいが、その主要顧客もシティバンクであった。InformationWeek誌の"India's Next Step: Commercial Software"と題する記事の中で、Polaris Software Lab Ltd.というインド系ベンダーのシニアVPの話として以下の発言が引用されている。

 

"We weren't just doing legacy support, we were developing brand-new, customer-facing systems for one of the world's biggest banks."

 

このBPMベンダーは、オランダ銀行、ロイズ、UBS、シティバンクといった有力銀行を既に顧客として擁しているが、先の発言からも顧客にビジネス・アプリケーションを供給しているのは自分達である、との自負が読み取れる。

英語から日本語へ

こうしたインドの力を借りようと、東芝やNECがインドで社員研修を行っているというニュースが昨年9月14日の日経新聞に掲載されていた。しかし、最近のインド系IT企業の動向を見るに、我々がインドをコーディングの委託先として期待できるフェーズは既に過ぎていると解釈するべきであろう。8月23日の日経1面、Infosysが採用した日本人40人ほどがバンガロールで研修を受けている様子が報じられた。短期研修ではなく、1〜2年のインドでの実務を含む本格的なものである。

もし彼らがブリッジSEとして日本へ帰国し、インド系ITベンダーが欧米の金融機関で培ったノウハウを日本へ持ち込んできたらどうなるだろうか? 一部の外資系金融機関のシステム開発センターへ行けば、それが既に現実となりつつあることは容易に理解できる。そして、インド系ITベンダーの積極的な姿勢を見るにつけ、彼らが日系ITベンダーの直接の競合として存在感を増すことは間違いないと思わざるを得ない。ビッグディールのうち、5社中3社がインド系ベンダー、なんていう日も近いか。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

3件のコメント
  • e-Tetsu

    Kimokoさん、
    ちょっと英語の勉強足りなかったんでしょう。あのときやっとけばねぇ。

    2005年09月08日

  • 415

    インドのベンダがノウハウ的にも技術的にも
    ハイペースで清聴を続ける中、
    欧米でのベンダの空洞化を考えると
    オンショアよりもオフショアの方が技術力的にも
    ノウハウ的にも優れているという状況が生じ、
    価格も逆転することも可能性としてはありえますよね。
    そこまでいくのでしょうか?
    もし行かないとすればそこに歯止めを掛ける要素として
    どういったものが考えらるのでしょうか?

    2005年09月06日

  • Kimoko

    最近外資の金融機関など、インドのベンダーがだいぶ参入して
    きていますね。
    英語力、IT力、価格競争力・・使われてる理由がよくわかります。

    数ヶ月前にInfosysの応募に書類を送ってみたが、さらりと流されてしまったようだ。

    2005年09月06日

SpecialPR