そういうことなら自分でやりますよ

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2005-10-20 01:40:55

10月19日、ZDNet Japanでは、シーベルに関するニュースが二つ報じられた。一つは、シーベルがオラクルとの合併効果をユーザー・カンファレンスで説明したという話。もう一つは、SAPがシーベルの顧客を奪おうと値引きキャンペーンを始めたという話。シェア拡大のための戦術として見ると、それなりに面白いトピックであるが、顧客側から見ると勘弁してくれといった話である。

シーベルの事情

InformationWeek誌は、シーベルのユーザー・カンファレンスを"Oracle-Siebel Customers Have More Hopes Than Details On Post-Merger Plans"と題する記事で報じている。やや皮肉っぽいタイトルだが、実際、良いこともたくさん言ってくれるが、詳細が良くわからんのだよね、ということであったらしい。シーベル・ユーザーの中でも、オラクルDBを利用していた顧客は良いが、そうでなかった顧客については、未だオラクルが他社DBへの対応方針を明確にしていないだけに不透明感は強い。

SAPの事情

一方、企業間の競争は実に非情であり、プロダクト・ロードマップが不透明なところに付け込んでSAPは大幅値引きでシーベルからSAPへの乗り換えキャンペーンを始めている。手傷を負った相手の傷口にグリグリと塩を塗りこむようで残酷だが、相手が力を盛り返してからでは手遅れになるから、やっぱり奪えるだけ奪いたいところなわけである。オラクルがピープルソフトを買収したときも、やはり同様であった。

顧客の事情

しかし、CRMのソフトウェアというのは、一度使い始めるとスイッチング・コストはかなり高い。特にこの手のソフトウェアは、ユーザーが使い慣れてくれないと、なかなか真価を発揮しない。そしてユーザーが使い慣れると、顧客データが蓄積し始め、それが増えれば増えるほど費用対効果も出てくるというものだ。つまり、CRMソフトは使い込むほど価値が高まるのである。

そこへきて、買収でプロダクトのロードマップが不透明になってきたから乗り換えろ、と言われてもそれを正当化するのは容易ではない。これは、実はサブスクリプション型のソフトウェアでも同様である。月次で利用料を払えば簡単に始められるとはいっても、いざ使い込んでしまうと止めるのは容易ではないのである。

そんなことなら

これでは、残るも地獄、移るも地獄、といった様相を呈する。こんなサプライヤー側の論理で振り回されるくらいなら、ユーザーが自らオープンソースで作り上げる方がよほど理にかなっていると思っても不思議ではない。今回の買収でシェアを伸ばすのは、実はオラクルでもSAPでもなく、SugarCRMだったりするかもしれない。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

1件のコメント
  • きも子

    ERPベンダーの血みどろの争い、ユーザから見ると、リ
    プレースの決め手が明確ではないので、なかなかSAPに
    とっては難しいとは思います。とはいえ、何となく、
    CRMを強化しなくちゃいかんが、今のシステムでは効果
    がないんだよなぁー、とかいうヌルイ担当者が決めるの
    であれば、案外さっくりひっくり返るのかも知れません
    ね。

    さて、CRMなるソフトウェア。
    様々な機能を提供していると思います。。顧客属性情報、
    顧客営業情報、その他顧客に関連した情報をよろしく使
    用して次のビジネスにつなげるという類のものだと思い
    ますが、いまいち、その理想が現実として効果に現れて
    いるところは少ないと思います。

    CRMは、そもそもの蓄積された情報を利用することによ
    って価値を創出する、という考えからすると、企業の収
    益に必要な客情報とその利用方法が明確になっていない
    とただのデータベースになってしまいます。

    必然性がCRMそのものからくるのではなく、あくまでも
    収益計画において顧客情報の必要性がないといけない。
    そう考えると、コンサルティングが綿密に行われた後の
    導入でないとダメですね。
    だけど、出来ていないことを考えるのは難しいし、経験
    があるというベンダーは、システムを入れることを考え
    てコンサルティングを行う。KMもSFAもそうですが、、
    そんなこんなで、なかなか、理想ほど上手くいかないこ
    とが多い。

    何となく、コンセプチュアルなところから入ってる意図的
    3文字英語系ネーミングのシステムは、遠ざけたい感じが
    しますね・・。

    2005年10月20日

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