沖縄の狛犬、世界を目指す

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2005-11-09 02:14:02

Seasarとは、沖縄の方言で「狛犬」のことだそうである。また、Seasarとは、国産オープンソースのJAVA開発フレームワークの名称でもある。チーフコミッターである比嘉康雄が沖縄出身であることによる。ISIDとして、このオープンソースの商用サポートを開始することとしたのだが、SIベンダーとしてオープンソース関連ビジネスを手掛けることは、容易なことではない。容易でないというのは、それを実行すること以上に、その意味を整理するという点においてである。

前回取り上げたトピックは、オープンソース・データベースのMySQLに対抗して、OracleやMicrosoftなどの大手ソフトウェアベンダーが無償版のデータベースの提供を開始したというものであった。つまり、ソフトウェア・ベンダーにとってオープンソースとは、これまでのビジネスモデルを脅かす破壊者と位置づけることができる。純粋にオープンソースをビジネスの中心として設立された企業は別であるが、既存のライセンス販売ビジネスを持つソフトウェア・ベンダーが、オープンソース・ビジネスを手掛けるには、二つのビジネスモデルの矛盾を解消する必要がある。

一方、オープンソースが、それを利用するユーザーコミュニティーによって開発されるものであるならば、それは顧客志向の究極形態であると考えられる。そして、Webを介したコラボレーションが可能なソフトウェア開発という世界においては、その究極の顧客指向が実現されてしまうのである。そうした状況の中でプロダクト・アウト型のビジネスを継続し続けることは難しい。

しかしながら、全てのソフトウェア領域においてユーザーが自ら開発することを望んでいるというわけでもない。ボランティアベースで開発されるオープンソースにおいて、開発を進捗させるだけのリソースを得られる領域というのは、より汎用性の高いものに限られてくるだろう。とすれば、オープンソースと商用ライセンスの適切なバランスというものがあるはずだ。逆に言えば、そのバランス点に到達するまでは、オープンソースの勢いが止まることはないと考えられる。

つまり、ソフトウェアベンダーが、顧客ビジネスの支援をミッションに掲げるならば、オープンソースと商用ライセンスとの適切なバランス点を目指すべきだと考える。そして、オープンソースの商用サポートというのは、オープンソースが企業によって利用されやすい環境を作るための活動であり、オープンソースの発展に資するものだと考えている。私は必ずしも全てがオープンソースとなるべきとは思わないし、また、商用サポートによってオープンソース開発の方向性そのものに影響を与えるべきではないと考えている。

さて、Seasarの面白い点は、タイトルにある通り、その実力が世界レベルにあるという点である。実際に、海外からの注目も高く、ドキュメントの英語化も間もなく完了する予定である。Seasarと共に世界を目指す、というのも、実は今回取り組んでみたことの動機の一つだったりもするのである。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

3件のコメント
  • e-Tetsu

    確かに。早速リンク張り替えました。
    画面、上の方にある「世界一○○な狛犬」は楽しいですな。

    2005年11月09日

  • manutd04

    いつも拝見してます。
    文頭のSeasarのところは http://komainu.net/ へのリンクの方が良いと思いました。以上失礼しました。

    2005年11月09日

  • takashis

    現在のソフトウェア・ベンダーからすると良くある
    反応として、「OSSをビジネスにしても儲からない」
    「安かろう、悪かろう」というのが良く聞かれると思
    います。

    前者に関して言えば、まだ顧客が気づいていない
    だけであって、確かにこの瞬間は有償ソフトを販売
    した方が良いということになります。しかし、いずれ
    どこかのポイントでその暗黙の了解(業界の常識)
    を破って参入してくるチャレンジャーに対して無防
    備でいられるか?それはいつ頃か?という議論を
    すべきだと思います。
    つまり、やられる前にやれるか、ということです。

    後者に関しては、かなり誤解があるのですが、
    LinuxやEclipse,Strutsなどがそうであるように
    同じコストであっても他者に対して機能その他に
    優位性がある、ないしは他の選択肢がないという
    積極的理由も十分考えられます。
    有償ソフトベンダーが自社で調達しているリソースよ
    り安価で大量で継続的なリソースを調達できたOSS
    コミュニティの方が優位になるはずです。
    つまり、規模の経済とは、コストメリットだけではない
    ということです。

    OSSが無視できない存在になってくるのだとすると、
    今までは「企業>ソフト製品」という枠組みだけだっ
    たのが「ソフト製品>企業」という枠組みも部分的に
    出てくるということになり、企業のあり方に影響が出
    てくるのではないでしょうか。

    2005年11月09日

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