Nature誌の罠 - BritannicaとWikipedia

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2006-03-29 00:06:55

昨年の12月にNature誌が、WikipediaがBritannicaと互角だとした記事に対し、Britannicaが20ページにも及ぶ反論を公表したという。職業柄、この争いをオープンソースと商用ソフトとついつい比べてしまうのだが、そのアナロジーで考えるとBritannicaの戦術はちょっと危険である。

なにせ記事の正確性について一つ一つ議論を積み重ねるのでは、全く同じ土俵で戦おうとしているに等しい。それは、少数の専門家 vs 多数のボランティアという構図で、最近では後者の力を擁護する議論も活発なわけである。しかも、その編集のスピードという点で言えば、Wikipediaの方が圧倒的に早い。

ちなみに、"Web2.0"をWikipediaで調べれば、当然のように結構な記述が出てくるが、Britannica Onlineでは、該当する答えが見たところ無さそうである。だからBritannicaが悪いというつもりはないのだが、記事を個別に挙げながら正確性を議論するというのは、戦術的にはナンセンスだろうと思うのだ。Wikipediaは誤りが指摘されるや否や、どんどん修正され得る仕組なのだから。

むしろ、統率が取れているがゆえに実現できる一環した編集方針であるとか、有償であるが故に可能となるかもしれないサービスといったものなど、独自のモデルをアピールしないと生き残りは苦しい。あるいは、Britannicaが読者による編集を受け付けるといったような、オープンソース的なモデルを受け入れたりするとなお面白いことになるだろう。Wikipediaにはない、専門家による監修と組み合わせると、非常に付加価値も高まりそうな気がする。

同様に、商用ソフトとオープンソースのどちらが優れているか、という議論はナンセンスだと思う。これはソフトウェアの開発モデルの違いであって、優劣を論じるのではなく、開発モデルの違いからくる特徴を論ずるべきだろう。などと、Britannicaの反論を見てふと思ったのでした。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

SpecialPR

  • 【3/31まで早期割引受付中!】「IBM Watson Summit 2017」開催

    日本IBMが主催する最大の国内総合イベント。テクノロジー・リーダーの疑問を紐解く「企業IT、セキュリティー、モバイル、データ解析などの進化を探る」詳細はこちらから!

  • デジタル変革か?ゲームセットか?

    デジタルを駆使する破壊的なプレーヤーの出現、既存のビジネスモデルで競争力を持つ
    プレイヤーはデジタル活用による変革が迫られている。これを読めばデジタル変革の全体像がわかる!