SI2.0へ向けて

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2006-04-18 00:20:41

4月の釣りはいつにしようかな〜などと腑抜けたことを考えていたところ、いつの間にかSI2.0へ向けた議論が沸騰し始めておりました。CNETの渡辺さんは「SIビジネスの現在、あるいはSIer2.0」と題するエントリーで、「SIのSは、実際の現場でServerなのか、Systemなのか、Serviceなのか」と問う。そしてSUNの藤井さんは「SaaS: Software as a Serviceは来るか?」と題するエントリーの中で飯田の考えを問うと。これでは釣りに行けない。。。

イノベーションとデリバリー

年度始めでもあることだし、釣りのことはちょっと忘れて、SI2.0について考えてみたい。先日のSUNのセミナーにおいて私がフォーカスしたのは、主として2.0時代におけるイノベーションの取り込み方についてであり、これを象徴するのがオープンソースである。一方、2.0的世界においては、イノベーションのみならず、そのデリバリーの方法にも革新が起きる。これを象徴するのが、Salesforce.comに代表されるようなSaaS(Software as a Service)の考え方である。いずれも、インターフェースの標準化、コンピューティングリソースの仮想化、ネットワークの高速化がもたらした変化である。

オープン・イノベーション

コミュニティ・ベースで始まるイノベーションをいかにエンタープライズ・ビジネスへ展開できるか。ポイントは、いかにしてコミュニティとユーザーとビジネスをバランスさせ、相互にメリットのある関係を築けるかにある。短期的にコミュニティの良い点のみを活用するような戦術を取れば、長期的にはイノベーションを潰すこととなる。

サービス・インテグレーション

コンピューティング・リソースがユーティリティー化する流れのなかで、ソフトウェアを個別インプリメンテーションではなく、サービスとして提供するモデル。藤井さんの問いかけは、その時SIerは、ASPモデルでサービスを提供する側に回るのかという点。一方、SIerには、顧客側の視点でサービスをインテグレーションするという選択肢もある。

多くのSIerが現状もソフトウェアの販売とシステムインテグレーションを行っていることを鑑みれば、どちらの方向性もあり得るだろう。ただし、ASPの提供側はプロダクト指向にならざるを得ず、顧客指向のサービス・インテグレーションとは相容れない要素を持つ。それゆえ、同時に手掛けるにしても、どちらかに比重を置かないと中途半端なことになる。

窮すれば通ず

サービス指向アーキテクチャー(SOA)の考え方が登場して以来、従来型のSIerビジネスはシュリンクすると言われてきた。つまり、SaaSが主流となって、従来型のインテグレーションは不要になるということだ。ところが、SOAは思ったほどの速度では浸透せず、最近の景気回復によりエンジニアの不足がクローズアップされるようになっている。ビジネス・ユーザーとしては戦略遂行のためにテクノロジーを活用したいが、高コスト、あるいはリソース不足によりそれが実現できないという事態に直面する。

オープン・イノベーションもサービス・インテグレーションも、実ビジネスではまだ始まったばかりであるが、その理想像を求めるが故ではなく、リソースの逼迫からこうしたモデルが浸透するのではないかと思ったりもする。つまり、エンジニアが不足すればイノベーションを社内に求めることが困難になり、オープン・イノベーションへの期待が高まる。また、エンジニア・リソースの不足がサービス指向アーキテクチャにその解決を求める。皮肉ではあるが、窮すれば通ずか。

さて、今週木曜日はSun Business .Nextにて、「ITビジネスの新潮流 - Web2.0, オープン・ソース時代のITシステムとは」と題する藤井さんのセッションに参加してSIerの視点からお話する予定。この議論はまだまだ発展途上。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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