「仮面ライダー電王」から考えるソフトウェア業界

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2007-01-20 13:02:37

そろそろ初詣のおみくじで「凶」を引いたショックから立ち直り、ブログも再開したい。それにしても、新年早々M田君がうるさい。M田君と言えば、かつてハサミ型シュレッダーを情報セキュリティソリューションとして販売したいという企画を立案し、私を深く失望させた過去がある。

仮面ライダーの突然変異

そのM田君が何を騒いでいるかと思えば、仮面ライダーの最新シリーズ「仮面ライダー電王」は、なんと電車に乗って登場するのだと言う。「"時刻"を越えて、俺、参上!!」とか書いてあるが、乗り物を自分で操縦しない仮面ライダーは史上初らしい。電車が止まったらどうすんだ、とか余計な心配をしてしまうが、さすが昆虫にその起源を持つだけに突然変異もお手の物といった感じだ。

生物の繁殖戦略

さて、その昆虫の話。水波誠氏の「昆虫―驚異の微小脳」によると、生物の繁殖戦略には大きく2通りの戦略があり、その違いは環境の変化への対応方法にあると言う。1つは「r戦略」と呼ばれ、「短期間に多くの変異を生み出すことによって、環境の変化に対応して生き残るという戦略」(p271)であり、昆虫のような小型で短命な種に観察される。もう1つは「K戦略」と呼ばれ、「学習によって個体行動を変化させて環境変化に対応するという戦略」(p271)であり、脊椎動物のように大型で長命な種に観察される。

ソフトウェア企業の繁殖戦略

さて、2006年のソフトウェア業界は大手ベンダーによる買収が継続し、寡占化の流れが促進された印象がある。2007年もその趨勢が大きく変わることはないだろう。先ほどの生物の繁殖戦略のアナロジーで言えば、脊椎動物の取る「K戦略」が正しい道であるように見える。

ソフトウェアの機能が高度化する中で、大規模な研究開発投資とその結果を消化する顧客基盤を持たない限り、ソフトウェア業界で生き残るのは難しいという考えもある。しかし、「r戦略」と「K戦略」を排他的な二元論として捉えるべきではないだろう。また、それはソフトウェア業界の発展にとっても障害となる。

ヒトと昆虫とソフトウェア業界

先ほど繁殖には2つの戦略があると書いたが、実はこれも排他的な二元論ではない。つまり、「r戦略」と「K戦略」は共に成功しているのだ。それぞれを象徴するのが、昆虫と人間ということになるが、水波氏は、「昆虫とヒトなどの哺乳類はまったく違う方向に進化したが、それぞれの進化の頂点を極めた動物群の双璧といえる」と述べている。

同様にソフトウェアの世界においても、「r戦略」と「K戦略」は共に存在するべきで、どちらか一方向に進まなくてはならないというものではない。適応領域により、どちらが適しているかという問題である。ただし、企業としてどういう戦略を取るのかは明確にする必要があるだろう。二つの戦略がソフトウェアビジネスの領域に存在することは可能でも、それが1つの企業体の中に存在することには矛盾がある。

生物の世界においても唯一の例外は、バッタの能力を持つ改造人間、仮面ライダーくらいのものだろう。

<お知らせ>2/14-15に開催される「Developers Summit 2007」で「狛犬(Seasar2)と駆けた1年 〜リアル・エンタープライズOSS 〜」というタイトルでお話させて頂く予定です。オープンソースの現状の分析から実際にエンタープライズ領域で適用する場合に起きる様々な矛盾点などについて分析を加えてみるつもりです。ご興味のある方は是非登録してみて下さい。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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