銀行とテクノロジー企業の相互参入の構図

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2008-03-29 22:15:06

前回取り上げたP2Pレンディングは、最も銀行らしいサービスを銀行ではない企業が手掛けるケースであったが、今回は銀行でなくても出来るのだが実に銀行らしいサービスの話。

WellsFargoの電子データ保管サービス

CBR誌によれば、米大手銀行のWellsFargoがリテール顧客向けの電子データ保管サービス “vSafe”を始めるという。顧客の重要な電子データ、例えば金融に関連するものとしてステートメント、税金、融資に関連するドキュメント、あるいは人生における重要なものとしての結婚、死亡証明など。これらを電子データとしてしっかり保管しますよというものである。つまりは、貸金庫の電子版ということである。

なぜ銀行であるか

セキュアに電子データを保管する仕組みを作れれば、このサービスを銀行が提供する必然性は必ずしも無い。P2Pレンディングよりも、よほどテクノロジー系の企業にこそ親和性がある。しかし、銀行がそれを行うことの納得感は、一日では築けない継続性と信頼性にあるだろう。

オンラインであれオフラインであれ、金融サービスが最もこだわらなくてはならない本人確認への取組み姿勢が、人生において最も重要な電子データを銀行に保管しようと思わせてもおかしくはない。特に金融に関わるものならば。

なぜ銀行ではないか

一方で、本来的には銀行らしい融資機能がP2Pレンディング・サービスに流出するのは何故だろう? 借り手は基本的にはより低利でお金を出してくれれば銀行でなくても良いだろう。一方、貸し手はP2Pレンディングの場合には、預金というよりは小口投資を振向けているので基本的に流れてくるお金の種類が違うと言える。そのため、借り手から開示される情報や、クレジットスコアと金利を照らし合わせてリスクに見合えば投資する。

つまり、P2Pレンディングという消費者向け小口融資マーケットは必ずしも銀行の持つ信頼性のブランドの延長にはないのである。

これからの金融サービス

金融というのは極めてITインテンシブな業界である。それだけに、テクノロジーの活用によって大きくそのサービスが進化する可能性がある。一方で、テクノロジーに強い企業がその領域の一画を突き崩すことも有り得るだろう。米国ではWeb2.0系の金融サービスが次々と立ち上がり、この領域を面白くしている。こうしたせめぎ合いが、それぞれの本源的なコア領域を浮かび上がらせていくだろう。

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