あらゆるニッチを試すアメリカの土壌

飯田哲夫(Tetsuo Iida) 2008-05-25 16:38:01

何度か取り上げているソーシャル・レンディング。その最大手の1つであるProsperが、米国でいよいよテレビ広告を打つのだと言う。通常の金融機関であれば、テレビからネットへと展開したが、Web2.0企業はネットからテレビへと進出?するのである。

Prosperも苦労した

日本においては、ソーシャル・レンディングというWebで借り手と貸し手を繋ぐビジネスは立ち上がっていない。ZOPAの日本進出の話はあるが、一方で、出資法など制度的な壁が議論されることが多く、論調は消極的である。では、米国においてProsperが順風満帆でここまで成長したのかと言うとそうでもない。

BusinessWeekの記事によれば、Prosperがここへ至るまでの道のりは、規制との戦いの連続であった。競合のLending Clubは、まさにそのために新規会員の登録を受け付けていない。米国では州毎に定められた上限金利というものがあるらしく、Propserも当初はかなり苦労したようである。記事によれば、その制約を乗り越えるにはFDIC(連邦預金保険機構)に加盟した金融機関である必要があり、ProsperはWebBankと提携することで、その壁を乗り越えた。そのため、今のProsperの仕組みでは、資金の出し手は、借り手に直接資金を貸し付けているのではなく、WebBankが貸し出した債権を買い取る仕組みとなっているのである。う〜ん、なるほど。

あらゆるニッチを試す

アメリカの土壌として感心してしまうのは、Prosperの後を追って、知人同士の融資を仲介したり、学生ローンにフォーカスを当てたりと、そんなニッチ追いかけても生き残れないのではないか、という領域にまで次々とソーシャル・レンディングのチャレンジャーが登場することである。

そのほとんどは、これから数年のうちに息絶えてしまうのであろうが、その一部は、既存の金融では満たされていない領域を補完したり、場合によっては置き換えることになるのだろう。結果的に、顧客からすると、サービス主体が誰であるかには関係なく、より良いサービスが受けられるようになる。見事なサービス向上のエコシステムである。

さて、Prosperはこれまでは、既存の金融機関が貸し出しをできないような先に対する融資の仕組みとして、既存のサービスを補完するものと捉えられてきたが、テレビCMを打つあたり、狙いは既存のサービスの置き換えなのであろうか。今回の広告のキャッチは"Let's bank on each other"だからかなり挑戦的であることは間違いない。TVスポットはこちら

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