10年前の私たち

iptelephony 2005-12-13 18:15:49

 現在の日本アバイアが、コンタクトセンター(当時はコールセンター)の市場で営業をスタートして、おそらく10年以上は過ぎていると思います。

 私が、1995に入社した当時の日本AT&Tのグローバル・ビジネス・コミュニケーション・システム(グローバル組織でないほどGlobalと名前につけたがる)部は、主に日本へ進出してくる外資系のお客様を対象に、一般の事務電話とボイスメールを使って、営業/マーケティング、技術、そしてサポートなどのすべてを、5〜6名でこなしていました。93〜94年当時のメンバーにとっては、何とか拡大しつつある日本のコールセンター市場への販売を進めるべく、米国本社を説得することが一番の課題だったようです(本社から見ると、日本はAT&Tのコールセンターは、販売する側も、使う側も、まだまだ未熟だと思われていたに違いない。)。

 当時のベル研究所には、また、コールセンターは、数あるひとつのアプリケーションで、どれも結果的には大きく成功はしませんでしたが、ビデオフォンや先進的テレビ会議システムなど、また、フィリップスに売却されたコンシューマー向けのミッキーマウスフォン(受話器の部分が日本人には重すぎた)や先鋭的デザインの電話機など、日本市場に持ち込めば大きなチャンスになりそうな製品や仕組みが、ごろごろとあり、ニュージャージーの本部(現在のAvaya Inc本社)に行くのが楽しみでした。

 今となっては、コールセンタービジネスはアバイアの大きな柱となり、また、日本市場で大きくシェアを広げました。この様子は、当時は想像できなかったものの、他に日本の大手メーカー各社に対抗して、音声通信で利益を上げられる領域は、他には見あたらなかったのも事実でした。

 95年秋、代理店の方々の絶大なるご協力のお陰で、大手テレマーケティング会社の数拠点をロックウェル社製システムからのリプレイスすることで受注にこぎつけることができました。

 受注の喜びもさることながら、これで本社も文句は言えないだろうといった感覚を覚えたものでした。

 日本AT&T主催でコールセンターセミナーを麻布のアメリカンクラブで初めて開催した際は、たくさんのお客様に熱心にアメリカの事例を学ぶべく来場いただき、「これからはこのマーケットだ」と、やっと12〜13名程度になった部員全体で喜んだものです。インターネットも普及していない時代に、また該当のリストも十分にそろっていない状況で、どのように集客したのかを、今、想いおこすと、不思議でなりません。

 現在は、インターネットにしろ、顧客管理にしろ、便利な時代になったものだなと感心しています。私たち社員自身も、本国からのゲストスピーカの実例を踏まえたプレゼンテーションを聞きいったもので、恥ずかしながら80-20の法則(上位20%の顧客が80%の利益・売り上げを生むという普遍的な法則)やら、口コミ効果の影響力やら、ROIなどという言葉をお客様と共に学んだ時代でもありました。

 何しろトップダウンでしか、なかなか決まらない投資対象であるため、経営層の方々に面会いただき、プレゼンテーションをさせてもらったので、ずうずうしさと、説得力は身についたようです(AT&Tの名前を出すと結構お会いしていただけたものです)。

 コールセンターの意義をわかっていただくことはもちろんのこと、担当技術の方が着目されたポイントはエージェント(「オペレーター」とは呼ばず、何故か「エージェント」と呼んでいる。個々人がエージェントとして契約して、業務に就いているからだと思われるが、日本では通用しないにもかかわらず、玄人っぽいのでそう呼んでいた)にスキルも持たせて、呼を効果的に割り振る技術でした。今や、10や20のスキルは当たり前のようですが、当時は4種類のスキルが限界で、説明することさえ困難で、理解してもらうのは至難の業でした。

 しかし、理解していただくと、販売には効果を発揮しました。反面、システム設計は、数人の優秀なエンジニアしか組めない職人技だったので、ほとんど帰宅できない状態でサポートしていたことも事実です。

 まあ、音声とデータの統合を予言するようなコメントは、当時は、さすがに聞きませんでしたね。

 インターネットが何とか繋がった!と喜んでいた頃ですが、通信手段の革命だ!と研究所では意識し始めていたようです。

 10年前なんて、そんなに昔ではないのに、今とはまったく別の世界のようです。

 立ち上げ当時の諸先輩方は、この業界ではありませんが別の業界で、ご活躍中と折に触れて聞いております。

 大変悲しく残念でなりませんが、私のメンターでもあり、日本AT&Tに採用くださった(当時バイスプレジデント)鈴木茂人氏(その後、オーバチュアジャパン社長などを歴任し、株式会社シグニチュア代表取締役CEO・株式会社オプト上席顧問)が、10月に出張先の米国でお亡くなりになりました。

 謹んで感謝の意とご冥福をお祈りいたします。

(安藤靖)

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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