電話の文化 2 コール・ピックアップ

iptelephony 2006-05-25 21:33:07

(前回より続き)

ニューヨーク事務所とはいえ、日本の会社。やはり電話がかかってきたときの運用は日本流になっていた。つまり、社員全員にダイヤルイン番号はあるものの、電話がかかってきたときに本人がいなければ他の社員が電話を取るというオペレーションだ。これをニューヨーク事務所の米国人社員に浸透させるのは結構大変なことであった。

おそらく、会社からやれと言われているからやっていただけで、その意義や理由を理解していた人は殆どいなかったであろうと思う。実際に、私自身の経験として、目の前の米国人アシスタントの電話が鳴っているので「取らなければ」と思い、咄嗟に電話を取ったが、あとで不可解な顔をされた。どうやらプライバシーの侵害と思われたようだ。

システムの更改前は、キーテレホン式の電話機が導入されていたので、保留した通話は、プッシュダイヤルボタンの下にズラリと並んでいる回線ボタンを押せばその通話をとれた。

新しく更改したシステムでは、電話の取り方が全く変わった。第一、自分の電話機には自分のダイヤルイン番号のボタンしかない。それ以外の機能ボタンには、新しいPBXで利用できる各種機能が割り付けられていた。

従って、他の社員の電話が鳴っていても、自分の電話機上は何かランプが光るわけでも鳴るわけでもなく、全く変化がなかった。他の社員の電話が鳴っているときに、自分の電話機の受話器を上げ、「Pick-up」と表示されているボタンを押すと、鳴っている電話を自分の電話機でとることができるのだ。

当初は「使いにくい」という苦情が多く出た。「受話器をとってボタンを押す」・・この操作はキーテレホンであろうと変わらない操作で、しかもキーテレホンの場合はボタンの光り具合を見てどのボタンを押すのかを決めなければいけないが、新しいシステムでは「Pick-up」と書いてある決まったボタンを押せばよいのだから、操作性はむしろ向上しているはず・・・。

実は苦情の理由は全く逆で、どのボタンを押すか(つまり鳴っているどの電話を取るか)を選べないことにあった。部長の電話とスタッフの電話両方が鳴っていて、部長の電話を取りたいのだが、「Pick-up」ボタンを押すまでどちらの電話が取れたのかが分からないのである。

解決方法はというと、慣れてもらうしかなかった。しかし、この問題はこの会社では結果的には大した問題にはならなかった。部長とスタッフの電話が両方鳴っていて、私がとった電話がスタッフの電話だったとしても、鳴っている電話を取ろうとしているのは私だけでははく、他の人が部長にかかっている電話を殆ど同時に取るからだ。苦情は短期間で収束した。

勿論、このような操作性の違いはお客様にとって心理的に大きなハードルである。やはり、時代が変わろうと、従来型PBXからIPに変わろうと、日本製だろうが海外製だろうが、日本人が日本の会社で使う電話は、日本流の操作性が実現できてなければいけない。アバイアも2005年5月、日本流の操作性を実現した電話システムを発表、発売開始した。

(加藤 浩明)

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