PBXのIP化は時期尚早か? 3

iptelephony 2006-12-22 17:47:24

PBXのIP化が時期尚早であるという議論に対する問題提起を行い、そのポイントを前回までに(番外編を除く)2点挙げたが、今回もさらに2点のポイントを挙げる。

(3) 一度投資してしまった設備を、寿命前に廃棄するのは大きな決断

日本はここしばらく好景気が続いている。新聞紙上でも企業の過去最高益を伝える記事をたびたび目にする。この数年間、投資を抑制していた企業も投資を再開した。この好景気下では、「たとえ旧式のシステムを導入しても、IP化のメリットがはっきりした時には、償却完了前であってもその時点でIP製品に入れ替えればよい」という使い捨ての発想も出るだろう。しかし、IP化のメリットが明らかになった時に、償却完了前の設備を廃却してシステムを更改することが許される環境にあるとは限らない。日銀のゼロ金利政策も終わり、すでに市場は沈静化の兆しを見せている。今後このまま日本経済は適度な成長を遂げながら発展することができるのか、それとも沈静化の兆しがさらにマイナス方向に拡大して、再び不況の時代を迎えるのか。現時点でははっきりと予測できない。はっきりしていることは、その時その時で経済的な余裕度は変動するということであろう。

先行してIP化を遂げた企業は、今後万一不況が襲っても、追加投資も最小限で業務の効率化を図ることができ、不況を乗り切るための体力維持を図ることができるのに対し、旧式を採用した企業は追加投資ができず、効率化が遅れるということになる心配はないのだろうか。

(4) これまでのIPテレフォニー導入メリットと言われてきたこととは異なるメリットが顕在化してきた

IPテレフォニーの導入メリットというと、これまで一番注目されていたのはTCO(Total Cost of Operation)の削減である。導入コストといわずにわざわざTCOと言っているのは、IP化のメリットは初期コストの削減に加え、導入後の運用コストの削減が大きいからであるが、その点でのメリットは確実にある。しかし、IP化を先行して進めた大手企業の間ではTCO以外の別のメリットが注目されている。それは、英語では「ビジネス・コンティニュイティ:Business Continuity(業務の継続性)」と呼ばれている。

昨今のテロの増加や政情不安、異常気象など、企業が安定的な活動を実施する上で気にすべきことが増加してきている。社員が平常通り会社に出社してデスクで仕事をすることができるという当たり前の環境が必ずしも常に得られるとは限らない。2001年9月11日にテレビを食い入るように見る私たちの目の前で世界貿易センタービルが崩れ落ちた光景は今なお鮮烈に瞼に焼き付いている。このビルには、リアルタイムな通信を最も必要とする金融系の大手企業が多数入居していた。この事件により米国金融業会は相当期間、業務を大幅に縮小せざるを得ない状況に陥った。これをきっかけに、これら金融業会を中心に、かかる非常事態にあってもなお平常時とほぼ同等の業務を継続することができる環境の構築に努めるようになり、そこにIPテレフォニーが大きく貢献している。世界の支店・事業所との業務連携のためのデータ共有を維持しながら、平時における中枢の情報処理基盤が麻痺しても、別の処理基盤が立ち上がり業務を継続できるようにするのだ。

(加藤 浩明)

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