ITサービスマネジメントの4P

itil 2006-08-16 12:16:18

ITサービスマネジメントに関して、継続的に改善のサイクルを回していくのに必要なモデルは何か考えてみました。とかく、プロセスの導入には興味を持っている企業は多いものの、それが最終的に何につながるのかといったところまでご理解いただいている経営者が少ないことを感じたため、このようなモデルを作成してみました。

ITサービスマネジメントの領域ではPeople, Process, Productという3Pのバランスによって、インフラストラクチャに対するマネジメントの成熟度が決まってくるといわれています。別の言い方をすれば、ITサービスマネジメントのスコープを決定するための制限項目ともなりうるということです。

この3つの要件は確かに重要で、バランスをとることが求められますが、組織の文化に大きく影響されるところがあります。この3Pのバランスを適切にとるためにはそれぞれの組織におけるPolicyが3Pのそれぞれに対して、制約条件を与えるとともに、3Pのバランスの状況を見ながら、組織の文化的側面からの改革を行っていかなければ、組織の継続的改善を維持し続けることには繋がっていかないことが多いようです。

プロセスだけを見れば確かに3Pの観点から成熟度を見ることができますが、プロセスの継続的改善が実施できるようになっているかという点を見るためには、4Pの観点から見る必要があるようです。会社のビジョンをいかにして達成するか、そのための要素として必要な制約条件を把握し、それぞれに対処していけるかということです。会社のプロセスの改善、変更から、企業の文化の改革までできるようになっている必要があるのです。

企業が存続し続けることは、会社にとっても、従業員にとっても非常に重要なことです。一方で、顧客やユーザからも、企業が提供するサービスを使いたいときに使い続けられるということも要求されているのです。企業の存続ということは、株主や他のステークホルダを考えてみるも、企業の社会責任にかかわってくることになります。会社の、ビジョンを制約条件まで詳細化して理解するためには、会社の基本方針の理解が欠かせないということです。

 

4p.jpg

 

 

図:サービスマネジメントの4P

 

それぞれのつながりを考察してみます。

1. People ←→ Process

この関係は、業務遂行能力と関係するでしょう。

"Process"の面からは、まずプロセスが定義されていることが求められます。詳細化されたそれぞれのアクティビティまで落とし込まれている必要があります。

"People"の面からは、業務遂行能力、コミュニケーション力をはじめとして、人的な側面と、スキル面からの達成能力が必要になります。

プロセスは、フレームワークですから、実体のあるものではないので、プロセスのアクティビティを実際の組織に割り当て、スキルのある人にその役割を担ってもらう必要があります。まさしく、プロセス導入に当たっての重要成功要因といわれているところです。

この面で形成される企業文化の側面を、組織的カルチャと呼ぶことにしましょう。組織へのプロセスのアクティビティの割り当てと、それを自炊するためのリソースへの責任と役割分担が行われる側面を持っています。

2. People ←→ Product

この関係は業務効率と関係するでしょう。

"People"の面からは以下に効率用業務を遂行できるか、能力を最大限に活用できるかというアプローチになります。

"Product"のから考えると、効率的に業務を遂行できる環境を以下に整えるかということです。リソースの配分が適切に行われ、人的資源に依存する面と、人的能力を有効に発揮してもらうためのツールや設備面からのアプローチになります。

この面は技術的カルチャと呼んでもいい企業文化の側面になると思います。人的スキルに依存する要素と、それを効果的効率的に業務処理に反映していくために、適切なツールや設備の拡充といった面からサポートする必要があるところでしょう。

3. Process ←→ Product

この関係は、業務の自動化と関連するところといえるでしょう。

"Process"の面からは、プロセスを導入するにあたって、どこまでプロセスに準じて実施するかといったことや、どの分野から導入すべきかといった、導入にあたっての適用範囲を明確にしていく要素となります。

"Product"の側面は、まさしくITでどこまで処理できるかといった範囲になるわけです。ソリューションと呼ばれるほとんどの要素が、ここに含まれているといっても過言ではない領域だと思います。

ただし、ツールや技術的な側面からのアプローチに偏りすぎると次のような課題が発生してきます。"People"の成長を妨げ、モチベーションを低下させかねない危険があります。"Process"を単なる処理手順として捉え、手順を重視するあまり、改善のサイクルに入っていくことの妨げになることさえあります。この側面はビジネス的カルチャと呼んでもいいかと思います。

ITサービスマネジメントの導入は、単なるITサービスの運用面からのアプローチだけではないことを認識していただくのに、このモデルが役立つことを期待しています。ITサービスマネジメントの実施に当たって重要なことを以下に記述しておきましょう。

 

     

     

  1. ITサービスマネジメントの要件は、ビジネス要件を十分に反映していること。

     

     

  2. ITサービスをビジネス側が理解し、企業の存続に活用すること。

     

     

  3. プロセスの継続的改善ができる文化を築くこと。

     

     

 

この項目を理解いただき、プロセスの利点と企業の在り方を考えるトリガとしていただければ幸いです。

前田 隆

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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